2019年8月21日(水)

北の脅威を見据えた米艦防護

2017/5/2 2:30
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北朝鮮情勢の緊迫を受けて、稲田朋美防衛相が安全保障関連法に基づく初めての「米艦防護」を自衛隊に命じた。日米の緊密な連携によって、北朝鮮の無謀な行動を抑止する狙いがある。政府は不測の事態に備え、米韓両国などと協力して日本周辺の安全確保に万全を期していく必要がある。

平時における米艦防護は、昨年3月に安保関連法が施行されて自衛隊の任務に加わった。対象の米艦船に偶発的な攻撃があれば、必要最小限度の武器使用ができる。今回は海上自衛隊のヘリコプター搭載型護衛艦「いずも」が米軍の補給艦と房総半島沖で合流し、四国沖まで防護する予定だ。

政府は安保法に基づく新任務として昨年11月、南スーダン国際平和維持活動(PKO)に携わる陸上自衛隊の部隊に、民間人らを危機から救う「駆けつけ警護」と「宿営地の共同防護」を付与した。ただ適用の機会はなく、新任務は今回が初実施となる。

北朝鮮は4月末にも弾道ミサイルを発射した。空中爆発して実験は失敗したとの見方もあるが、国際社会が再三自制を求めるなかでの強行は緊張を高める許しがたい行動だ。通算6回目となる核実験も懸念されている。

米国のトランプ政権は北朝鮮政策で「対話と圧力」の原則を維持しつつ、軍事行動の可能性も排除しない方針で臨んでいる。今回、米艦防護の対象とした米補給艦はすでに日本海に入っている米原子力空母「カール・ビンソン」を中心とする打撃群の艦艇に補給する可能性もあるという。

平時から有事までの切れ目のない自衛隊の対応は、安保関連法が目指した法体系の中心的な考え方だ。日米同盟の強化は日本の安全保障にとどまらず、東アジアの安定に向けた屋台骨である。

一方で米艦防護などは自衛隊と米軍の一体化を招き、日本が戦争に巻き込まれる可能性が増すとの懸念もある。どういう地域や状況で実施するかは、政府が慎重に見極めていく必要がある。

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