出品から発送まで代行 米国発の洋服フリマアプリ
(三浦茜)
おそらくもう着ることはないけれど、捨てるのはためらうクローゼットの洋服達。だからと言ってフリマアプリで売るのも面倒くさい。スマートフォン(スマホ)によりフリマアプリを使った不用品販売は、気軽で簡単になったものの、まだまだそのちょっとした煩雑さを拭いされない人も多いのではないだろうか。筆者もその一人だ。

そんな思いを変える機会が、昨年末の大掃除の際にあった。出品や値付け、発送の手間を全て代行してくれる、ThredUP(スレッドアップ)というサービスを利用してみた。潔く気持ちのよい体験だった。
スレッドアップは2009年に創業。これまで1億3100万ドル規模(約150億円)の資金を調達している。当初はすぐ着れなくなってしまう子供服の交換サービスとしてスタートした。シェアリングエコノミーが米国で話題となり始めた頃に生まれたサービスだ。
しかしその後ピボット(方針転換)し、現在は中古子供服と婦人服の販売仲介サイトとなり、サイトにアクセスするとたくさんの子供服と婦人服が並んでいる。一見従来のリサイクルショップのようにも見えるが、インターネットで大規模に効率よく運営されている。
スレッドアップの利用方法はいたってシンプルだ。サイトから専用の袋を取り寄せ、その袋にいらない服を詰めて送るだけ。米国はマンションや道端に宅配企業の回収ボックスが設置されている。スレッドアップの袋には宛先なども明記されているため、服を詰め込んだ袋を回収ボックスに投函(とうかん)すればよい。
袋を取り寄せる際に、服を販売した利益を自分が受け取るか、またはチャリティー活動に寄付するかを選択する必要がある。自身が受け取る場合は、約5ドルの袋代が追って売り上げから差し引かれる。
送られてくる袋に同封されている冊子にいくつか注意事項が記載されている。高品質なものを提供するため、買い取りの可能性は50%程度であること。きれいな状態、購入から5年以内、名の付いたブランド物であることなどが買い取りの条件としてあげられている。
11着のワンピースを送ってみた。いずれも元値は100ドル程度、ユニクロ、モドクロス、アンソロポロジーなどのアイテムである。査定には3週間ほどかかった。11着のうち売れる確率が高いため、前払いで買い取りが3着で合計7.15ドル。売れた時払いの委託販売が4着、残りの4着はリサイクルに回された。スレッドアップが丁寧に見極めていると身をもって感じた。信頼できる。

委託販売の商品はスレッドアップが適切な値付けをしてくれる。これまでの販売データを活用し、商品が動く最高値を設定しているそうだ。売れた際にはその販売価格に応じて5~80%が出品者に支払われる。
筆者のワンピーズはいずれも20~30ドル程度の売値だったため、20~25%が支払われる。4月現在で2着が売れたので、筆者に支払われる総額は21.50ドルとなった。支払いはペイパルなどを使い受け取ることもできるが、スレッドアップで使うこともできる。
筆者はスレッドアップで利用する予定だ。今後はファッション通販サイトとして利用できると感じた。何よりアイテム数が膨大だ。1日にスレッドアップに届くアイテムは約10万点。現在1日に3万アイテム、これまで累計2800万アイテムが取引されたという。膨大なアイテムをブランド別、サイズ別、価格帯で検索できる。好きなブランドは昨年、一昨年のデザインでもお気に入りになる可能性がある。
結局稼いだ額は20ドル程度。大した金額ではないかもしれないが、捨てるという心理的負担がなくクローゼットを片付けることができた。そして新しいワンピースを購入することもできる。また年末の大掃除の際に利用することになりそうだ。
(スクラムベンチャーズ マーケティングVP)
[日経MJ2017年4月28日付]