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国際収支の不均衡はいま大きな問題か

米国のトランプ政権は、米国の貿易赤字や国際収支の不均衡を問題視し、黒字国に対応を迫る姿勢を崩していない。

2国間交渉などで貿易収支を調整するのは誤った考え方だ。無理に変えようとすれば経済に副作用をもたらす。また、世界的にみても、国際収支の不均衡が経済や金融市場をかく乱する要因になっているとはいえない。

各国はこうした点について米政権に粘り強く説明し、政策が間違った方向に進まないようクギを刺していくことが重要だ。

ムニューシン米財務長官は先週末、国際通貨基金(IMF)に対して、加盟各国の為替相場や対外収支に対する監視を強め、具体的な不均衡是正策を提起するよう求めた。「過度な貿易不均衡は自由で公正な貿易システムの助けにならない」との認識による。

これに応じる形で、IMFの助言機関である国際通貨金融委員会(IMFC)は「過度な不均衡に対応するためIMFが各国別に政策アドバイスをすることを歓迎する」との文言を、共同声明に盛り込んだ。

とはいえ、米国の対外赤字は国全体の投資が貯蓄を上回っていることを映したもので、対米黒字国の「不公正貿易」が原因ではない。どうしても貿易赤字を減らしたいなら、財政赤字削減など経済全体の体質を変える必要がある。

歴史的に見ると、世界全体の国際収支の不均衡が特に大きいわけではない。

貿易収支に海外からの利子や配当の受け取りなどの所得収支も加えた経常収支で見ると、米国の赤字は2006年には国内総生産(GDP)比で6%近くあったが16年は2%台にとどまる。

一方、中国の経常黒字は最大時の9%台から1%台に低下。日本の黒字は3%台と比較的高めだが、所得収支の黒字が大宗を占め、貿易黒字は小さい。

その中で黒字拡大が目立つのは8%台のドイツだ。財政もゆとりのあるドイツは、内需拡大や賃金引き上げなどでユーロ圏経済の底上げに貢献することができる。

20カ国・地域(G20)の財務相やIMFがマクロ経済政策の協調のあり方について議論することは引き続き大切だ。だが、いま米国や世界にとって最も重要なのは不均衡是正ではなく、貿易の自由化や生産性を引き上げる構造改革などで成長力を高めることだろう。

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