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人口推計に向き合い一層の少子化対策を

50年後の日本の人口は、2015年より3割少ない8808万人になる。国立社会保障・人口問題研究所がこんな推計をまとめた。5年前に出した前回の推計より、わずかに減少のペースが緩んでいる。だが依然、厳しい状況であることには変わりはない。

人口減少と急速な少子高齢化は日本社会に大きな影響を与える。未来を変えていくために、少子化対策を一層進める必要がある。

将来推計人口は、国勢調査の結果などをもとに5年に1度、改定している。現在の出産や死亡などの傾向が将来も続くとして算出した値だ。

それによると、人口は53年に1億人を割り込む。ただ前回推計の48年よりも5年、後ろにずれ込んだ。65年時点で40.4%とされていた人口に占める高齢者の割合も、38.4%となる。30代、40代の女性の出産が増えており、将来推計のもととなる合計特殊出生率の値を前回より引き上げたことが影響したという。

とはいえ、今回設定した合計特殊出生率は、1.44にすぎない。政府は「一億総活躍」に向けて希望出生率1.8の実現を掲げているが、その水準には到底、届いていない。とても安心できる状況ではない。

少子化は労働力不足と経済の低迷を招き、社会保障制度の基盤を揺るがしかねない。子どもを産み、育てたい。若い世代の願いをかなえるために、政策を総動員し、将来への不安を払拭しなければならない。

仕事と子育てを両立しやすくすることは、少子化対策としても、女性の労働力を生かすという意味でも大切だ。政府はここ数年、保育所などの整備を急いできたが、17年度末までに待機児童をゼロにするのは難しい情勢だ。両立を阻んできた長時間労働の見直しも道半ばだ。

高齢者に偏りがちな財源を、子どものための施策に振り向ける方策も考えなければならない。社会保障を効率化するとともに、豊かな高齢者に一定の負担をしてもらうなど、どんな方策をとるべきか、議論を深めなければならない。

今回、研究所は将来推計人口と同時に、前提条件を変えた仮定の値も出した。外国人を年間25万人受け入れれば1億人を割らない、などの値が一例だ。外国人材の受け入れをどう考えるか、議論の材料のひとつとなるだろう。

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