2019年4月23日(火)

米国の政策に振り回されず温暖化対策を

2017/4/4 2:30
保存
共有
印刷
その他

トランプ米大統領は温暖化対策を全面的に見直す大統領令に署名した。排出削減のペースが鈍るのは確実だが、日欧をはじめ各国は米国の政策に振り回されることなく温暖化対策を進めるべきだ。

大統領令は火力発電所からの二酸化炭素(CO2)の排出規制撤廃などを掲げた。温暖化ガス排出量が中国に次いで世界2位の米国の政策転換は、「パリ協定」の発効で勢いづいた排出削減の動きに水を差す。

ただ、規制撤廃には法改正が必要で議会承認などに年単位の時間がかかる。カリフォルニア州など独自に厳しい規制を設けている州もある。また、米政府はシェールガス・オイルの生産を増やす方針で、石炭からの切り替えが進めば温暖化ガスの排出を抑えられる。

このため、大統領令によって温暖化ガス排出量は大きく変わらない公算が大きい。2025年までに05年比で26~28%減らす目標を達成できる可能性も残っている。

米産業界も、温暖化対策を織り込んで長期的な事業計画を立てている例が多い。シェール開発に力を入れる米エクソンモービルは米政府に対し、パリ協定にとどまるべきだとする書簡を送った。

トランプ氏は大統領選中、パリ協定から離脱の意向を示していたが、いまだに「検討中」としているのはこうした現実も背景にあるのだろう。

一方、中国は温暖化対策強化を打ち出している。習近平国家主席は1月の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で「協定を離脱すべきではない」と言明した。

温暖化を巡る今後の国際交渉では米国に代わり、中国が主導権確保に動くことが予想される。米国が外交戦略上、離脱は得策でないと判断する可能性もある。

温暖化は今世紀末にかけて、さらに進むとみられる。パリ協定は産業革命以降の気温上昇を2度未満に抑えるのが目標だ。日米欧や中国などが提出済みの削減目標を合計しても達成にはほど遠く、今後、より厳しい削減を迫られるのは確実だ。

低炭素技術の開発や普及は一朝一夕にはできない。対策が後手に回るほど削減手法の選択肢は狭まり、コストは膨らむ。

パリ協定に参加する各国・地域はトランプ大統領の出方に一喜一憂することなく、数十年単位の長期で何をすべきかを冷静に考え、実行に移していく必要がある。

春割実施中!無料期間中の解約OK!
日経電子版が5月末まで無料!

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報