2019年4月26日(金)

元凶は文科省の大学支配だ

2017/4/2 2:30
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これで「文教の府」とは、あきれるばかりだ。文部科学省による大学などへの組織的な再就職あっせん問題で、同省は最終報告を公表した。2010年以降、違法な事案が62件あったという。ほとんど日常化していたことになる。

OBを使った天下り調整機関をつくり、人事課でも直接あっせんを手がけ、隠蔽工作に走る――。役所ぐるみの不正の深刻さが、あらためて明らかになった。本当にこれが違法行為のすべてなのかも疑わしい結果である。

文科省は再発防止のために、外部有識者によるチェック機関設置などを進めるという。しかし問題の根本にあるのは、文科省による大学支配と両者の癒着だ。

個々の大学の設置認可や、交付金、助成金の配分など、文科省は大学に対して決定的に強い権限を握っている。だから大学の運営側は文科省とのパイプづくりに腐心し、あうんの呼吸で天下りを受け入れる。こんな関係が長年にわたって築き上げられてきた。

2007年の国家公務員法改正で天下りあっせんが禁止されてからも、さまざまな仕掛けを施して旧来のつながりを温存してきたのが今回の不正の実相だ。

しかも文科省による国立大への関与は法人化以降、むしろ強まっている。文科官僚が役員や幹部職員として多数出向し、教育・研究の中身についても交付金配分権をバックに圧力は増すばかりだ。少子化が進むなかで、私立大も同省の意向には敏感だ。

今回の調査がそうした構造問題に言及していないのは解せない話である。再発防止のためには、設置認可や交付金、助成金配分のあり方などに切り込む必要がある。そこを避けた最終報告で本当に再発防止につながるだろうか。

文科省の天下りあっせん問題はこれで一応の節目となるが、不正は同省だけなのかどうか、なお疑問は残る。今後はかえって巧妙化するのではという疑念を抱かれないためにも、各省庁は自浄能力を発揮する必要がある。

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