原発事故の処理全うへ東電は改革加速を

2017/4/2 2:30
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国と東京電力ホールディングス(HD)が、新しい再建計画の骨子をまとめた。送配電や原子力事業について、他社と再編・統合を進める方針を盛り込んだ。会長に日立製作所の川村隆名誉会長が就くなど経営の体制も変える。

計画をつくり直し、人事を刷新するのは福島第1原子力発電所の事故処理を着実に進めるためだ。事故処理の費用はこれまでの試算を大きく上回る見通しになった。その費用を確保し、福島復興の責任を果たすために東電HDは改革の速度を上げなければならない。

経済産業省の有識者会議は昨年末、東電HDに経営の抜本改革を求める提言をまとめた。公表した骨子はこれを受けてまとめた。

賠償や廃炉、除染など原発事故の処理費用は、当初見通しの2倍近い約22兆円に膨らむ。そのうち16兆円を負担する東電HDは、年間5千億円の利益を30年間にわたってあげ続けなければならない。

実現のハードルは高い。費用を捻出するには、高い収益力が求められる。原発事故を受けて事実上、国有化された東電はこれまでも様々なコスト低減策に取り組んできたが、さらなる経営の効率化をためらってはならない。

新たな再建計画は全国での電力販売やガス事業の拡大など、地域や業界の垣根を越えた事業展開などの方針に加えて、送配電や原子力事業の分野で、他社と共同事業体を早期に設立すると明記した。東電HDが目指す改革がエネルギー産業全体を変えるきっかけとなることに期待したい。

先例になるのが中部電力と進める燃料・火力発電事業の統合だ。広瀬直己社長は全面統合を発表した会見で「先陣を切る火力発電で成功モデルを示したい」と語った。世界有数の燃料調達と発電規模を持つ企業連合の誕生を、他社も座視してはいられないはずだ。

長期に及ぶ改革を息切れせずに進めるには、けん引する経営陣の役割が重要だ。日立の経営立て直しで手腕を発揮した川村氏に期待したい。HD社長には傘下の小売会社社長である小早川智明氏が就任する。新たな体制で経営陣と社員が一体感を築いてほしい。

収益力の向上には柏崎刈羽原発の再稼働も不可避だ。しかし、原発事故を起こした東電HDが原発をもう一度動かすことへの地元の不安は大きい。信頼を回復し、理解を得る地道な作業が、新経営陣の大切な課題である。

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