2019年4月23日(火)

東芝のメモリー事業はだれに売るべきか

2017/4/1 2:30
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東芝の再建が重要な局面を迎えた。米原子力子会社のウエスチングハウスが連邦破産法11条の適用を申請したことで損失が拡大し、2017年3月期は1兆円強の連結最終赤字に転落する見通しだ。自己資本も底をつき、年度末時点で6200億円の債務超過になるという。

この窮地を切り抜けるために、東芝は残された最大の優良事業である半導体メモリー事業を売却する。売却益の計上で債務超過から脱却し、同時に多額の現金を手に入れることで資金繰りの不安を解消する狙いだ。先月末に締め切った1次入札では、米韓台の外資企業を中心に10社前後が出資・買収に名乗りを上げたという。

この事業売却について様々な声があがる。経団連の榊原定征会長は「東芝の半導体は日本の中核技術」として技術の国外流出に懸念を示した。菅義偉官房長官も「グローバルに見ても競争力が高く、雇用維持の観点からも重要」と事態を注視する考えを示した。

半導体の重要性はいうまでもない。人工知能やロボットが活躍する新時代に不可欠の基盤技術であり、国防分野でもカギを握る。

東芝の技術流出で国の安全について懸念が生じるなら、日本政府はその中身をきちんと説明した上で、外為法による外資規制の発動などの手立てを検討すべきだ。

国防上の理由で外資に制約を課すことは特異なことではない。例えば米政府は近年中国企業による半導体関連企業の買収に神経をとがらせ、安全保障上の懸念から買収に待ったをかけたこともある。

ただ正当な理由もなくいたずらに外資を排除する風潮が強まるのも困る。半導体で成功するには、毎年千億円単位の投資を継続できる資金力と、技術動向を先読みし世界の競合相手と対等に戦えるグローバル経営人材が欠かせない。

だが今の日本にこの2要件を満たす半導体関連企業があるのかどうか。液晶などの電子部品分野で日本企業が大同団結し、「日の丸連合」を形成した例もあるが、必ずしも成功していない。事態が行き詰まった時には、外部の人材や知恵を導入することも必要だ。

安全保障上の懸念を呼び起こさず、半導体についてプロの経営力を持ち、そして東芝が今の窮状から抜け出すに足るだけの高値を支払う用意のあるスポンサー企業を見つける必要がある。東芝経営陣の背負った責務は重い。

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