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米政権は中間層を真に支える策に集中を

米国のトランプ新政権の経済政策運営が迷走している。医療保険制度改革法(オバマケア)の代わりとなる法案の調整に時間を空費した結果、本丸の法人税改革やインフラ投資拡大にいまだ手をつけられていない状況だ。

必要なのは米国の成長基盤を強化し、中間層を真に支えるような施策に集中することだ。トランプ大統領は政策の優先順位や内容を見直し、その実現に向け指導力を発揮すべきである。

政権と与党・共和党はオバマケアの撤廃と代替法案の成立を最優先課題にしてきたが、共和党内の対立で暗礁に乗り上げ、法案は撤回に追い込まれた。

そもそもオバマケアを撤廃して新制度を導入することが本当に必要だったのかは疑問だ。米議会予算局は共和党の代替法案が実現すれば、無保険者がいずれ2400万人増えると試算していた。医療保険制度の柱がひんぱんにかわるのは米国民にとって迷惑な話だ。

経済政策で優先すべきことは他にある。一つは成長の持続性を高める策だ。米国経済は改善しており、景気を後押しする財政刺激策は不要ともいえる。ただ、老朽化したインフラの改修や新設、高すぎる法人税率の引き下げなどは生産性や競争力を高めるうえで重要だ。これらを財源を確保しつつ前進させることには意味がある。

もう一つは技術革新の波のなかで良い仕事を見つけにくくなっている中間層への支援だ。大統領が経営者の意見を聞くため招集した会議では、職業訓練の重要性を強調する声などが出たと伝えられている。技術や産業構造の急激な変化に対応できるよう人々を支えるのが政府に求められる役割だ。

ただ、大統領が実際に力を入れているのは、対米黒字国に輸入拡大を求めたり、内外企業に米国で工場を造るよう圧力をかけたりする強引な雇用拡大策だ。こうした介入主義的な手法は望ましくなく長続きもしない。また、石炭産業への環境規制緩和で炭鉱雇用を支えると宣言しているが、衰退産業で雇用を増やすのは無理がある。

株式相場はトランプ大統領当選後、経済活性化につながる政策の実現を予測して大幅に上昇した。だが、保護主義的な政策や、批判だけで指導力を発揮しない「悪いトランプ」にも目を向けざるをえなくなっている。経済政策の方向や政権運営の姿勢を転換しない限り求心力の低下は避けられまい。

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