2019年4月23日(火)

機関投資家と企業の対話促す改革進めよ

2017/3/26 2:30
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資産運用会社や年金など機関投資家の行動規範を定めた「スチュワードシップ・コード」が、約3年ぶりに見直される。金融庁の有識者会議で改定案が示され大筋で了承を得た。

安倍晋三首相は企業統治(コーポレートガバナンス)改革を、成長戦略の一つと位置づけてきた。その推進力となったのが、2014年に策定された機関投資家の行動規範だ。今回の見直しを、ガバナンス改革を一段と進めるための契機とすべきである。

強制ではないが守らない場合は理由を説明する必要がある、という規範の基本的な考えは変わらない。そのうえで見直し案は、議決権行使状況を開示することの重要性を強調した。

現在は開示に消極的な運用会社も多い。見直し案は、少なくとも役員人事や報酬など主な議案ごとに行使結果を集計し、賛否の件数を公表すべきだとした。さらに個別の投資先ごとの開示も促した。

こうした改定の背景には、資産運用を巡る日本的な事情が横たわっている。日本の大手運用会社はほぼすべて商業銀行や証券会社のグループに属する。信託銀行は企業にお金を貸しつけるとともに、大株主にもなっている。

はたから見れば金融商品の営業が優先されるあまり、機関投資家の経営チェックが甘くなっているのではないか、との疑義も生じる。議決権行使の結果の開示を促すことにより、資産運用会社が株主の責務を果たし投資先の経営に目配りしているかどうか、外部から判断しやすくする。

また行動規範は、あらゆる運用会社が投資先の企業価値を向上させるような提案をするよう求めた。影響力を強めるため他の投資家と協働することも選択肢の一つとして挙げている。

企業に投資の必要性を指摘したり、利益還元を提言したりする運用会社は増えている。規範で促すことにより、機関投資家の働きかけが広がることが期待される。運用会社は企業の経営を理解し、長期の視点で助言できる専門家を育てることが必要だ。

企業も株主向け広報の体制を拡充するなど、対話の準備を急ぐべきだ。機関投資家と経営陣が議論を深めることは企業価値を向上させ、お金の運用を託している個人の富を増やす。さらには、投資や雇用の拡大を通じて経済全体を豊かなものにするはずだ。

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