2019年4月23日(火)

EUは統合深化で生き残れ

2017/3/25 2:30
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2度にわたる大戦の舞台となった欧州で、ドイツとフランスなどが再び戦火を交えないための壮大な事業が欧州連合(EU)だ。

今年の3月25日は、EUの前身である欧州経済共同体(EEC)設立を定めたローマ条約の調印から60年にあたる。平和の礎としてのEUの成果を踏まえ、さらなる統合への道を歩んでほしい。

EUの歩みはおおむね成功だった。その柱は域内を人、モノ、カネ、サービスが自由に移動できる「単一市場」だ。加盟国の経済が相互に結びつきを強め、戦争とはほぼ無縁の欧州を築き上げた。

しかし、各国が主権をEUに徐々に移して統合が進んだことで、足元では反EUを掲げる極右政党が台頭している。4~5月の仏大統領選で仮に「EUとユーロからの離脱」を訴える国民戦線のルペン党首が当選すれば、実質的にEU存亡の危機に直面する。

英ロンドン中心部で襲撃事件が起きるなど、欧州は今なおテロの脅威に苦しむ。中東や北アフリカから流入する難民への対応も課題だ。経済面ではギリシャやイタリアなど南欧の低迷が長引く。

そんな難局の時こそ、英国を除くEU加盟27カ国の首脳は結束して行動する必要がある。加盟国は国ごとに行動するには規模が小さい。協力と協調を通じて初めて実効ある政策を打ち出せる。

トランプ大統領の下で米国が内向き志向を強めるなか、EUには自由貿易や地球温暖化対策をけん引する役割も期待されている。

一部の加盟国が先行して統合を深める「多速度の統合」という考えが出ている。EUの基本理念に反する行動をしがちな中東欧をけん制するねらいなら理解できるが、加盟国の分断につながらないような工夫は要る。

EU加盟候補国はトルコを除けば小国で、規模からみたEUの拡大はほぼ一段落した。ユーロ圏の再強化からテロ対策、軍事協力まで統合の具体策を深めることが、EU生き残りの唯一の道だと欧州の首脳は肝に銘じてほしい。

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