2019年4月20日(土)

生産性を高めて無理なく残業を減らそう

2017/3/25 2:30
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残業時間への規制案が固まった。残業を実質的に青天井で延ばせる現行制度を改め、罰則付きの上限規制を設ける。繁忙月に例外として認める残業は100時間未満とすることで決着した。

制度の見直しを過重労働是正の一歩としたい。重要なのは、労働生産性の向上によって働く時間を短縮していくことだ。働く時間の配分を本人にゆだね、生産性が上がるようにする制度の整備にも政府は力を入れてもらいたい。

政府、連合、経団連の政労使が規制案に合意した。残業の上限は原則として月45時間、年間では360時間とする。労使協定を結べば、年720時間の残業や繁忙月の特例などを認める。

月100時間を超える残業は脳や心臓疾患による過労死のリスクが高まるとされており、その基準近くまでの残業を認めることには批判もある。経営者は労働時間の短縮にできるだけ努める必要があることを自覚すべきだ。

終業から始業までに一定の休息を設ける勤務間インターバル制度については、導入を企業の努力義務とした。各企業は自社の事業内容などを踏まえ、制度化を検討してはどうか。

長時間労働対策でより大事なことは、一人ひとりが効率的に働き、短い時間で仕事が終わるようにする環境づくりだ。企画力や創造性で勝負するホワイトカラーの場合は、本人の工夫によって生産性を高め、働く時間を短縮できる制度を充実させる必要がある。

労働時間ではなく成果の対価として報酬を得る「脱時間給」制度の新設や、仕事の時間配分を自分で決められる裁量労働制の拡大が求められる。これらを盛った労働基準法改正案は一昨年に国会に提出されたが、本格審議が見送られたままだ。成立を急ぐべきだ。

日本はサービス分野の生産性がとりわけ低く、企業はIT(情報技術)を活用するなどで仕事の進め方を見直す必要がある。いまは労使協定で労働時間規制の適用除外になる運輸業や建設業についても、政府は将来的に残業の上限規制の対象とする方向だ。建設会社や運輸会社は積極的に業務効率化を進めることが求められる。

生産性の向上を伴わずに労働時間の短縮を急げば、企業活動に無理が生じやすい。社員が仕事を自宅に持ち帰らざるを得なくなる恐れもある。政府は生産性向上の支援策に多面的に取り組むべきだ。

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