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生殖医療は法の整備が急務だ

病気で妊娠できない女性が国内で匿名の第三者から提供を受けた卵子を使って体外受精し、初めて出産した。同様のケースは今後増えるとみられるが、親子関係をどう規定するかなどは曖昧なため、法整備が急務だ。

卵子提供は海外で広く実施されている。日本では倫理的に問題があるといった声もあり、一部の医療機関が姉妹や友人の卵子を使うのにとどまってきた。一方で、海外に渡航して匿名の第三者の卵子提供を受ける人は多い。国内で可能になれば選択肢が広がる。

ただ、卵子提供者と産んだ女性のどちらを母とするか、子が出自を知る権利をどうするかなどが問題となる。卵子が商業主義的に売買されることへの懸念もある。

民法は誰が母になるかを明記していない。厚生労働省審議会は2003年に条件付きで卵子提供を認める報告書をまとめ、法整備が必要とした。昨年には自民党の部会が「子を産んだ女性が母」などとする民法特例法案を了承したが、国会審議には至っていない。

子宮の病気などで妊娠できない女性が海外に渡航し、自身の卵子を他人の胎内に入れて子を産んでもらう「代理懐胎」でも親子関係の問題が起きている。

14年には、提供精子を使って生まれた男性が出自を知りたいと病院に「遺伝上の父」の情報開示を求め、資料がないと拒否されて話題になった。

国際生殖医学会連合による65カ国・地域の実情調査では、8割で第三者からの卵子提供を認めていた。米欧アジアのほとんどの国に生殖補助医療に関する法律がある。日本の対応は遅れている。

政府は技術の進歩や広がりを踏まえ、さまざまなケースを想定して法整備を急ぐべきだ。

もちろん、生殖補助医療に頼りすぎるのもよくない。卵子の提供を受けても高齢妊娠は母子ともに危険を伴う。卵子提供者の体の負担も大きい。医学的な課題を理解したうえで、子の幸せを第一に最新医療を活用したい。

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