2019年4月26日(金)

人手の不足も映す地価動向

2017/3/23 2:30
保存
共有
印刷
その他

地価は引き続き緩やかな上昇が続いている。国土交通省が公表した公示地価(1月1日時点)をみると、商業地に続いて住宅地も下落から脱した。不動産市場への資金流入が地価を押し上げている。

地価上昇の理由は幾つかある。ひとつは低金利で借り入れコストが低下した不動産投資信託(REIT)が積極的に物件を取得している点だ。金融機関の不動産向け融資も高水準になっている。こうしたお金は地方都市にも向かい、地価上昇のすそ野を広げている。

それを実需が下支えしている。訪日客の増加をにらんだホテルや商業施設向けの土地取得が活発だ。オフィスの空室率をみても東京などの大都市に限らず、主要都市で低下している。

ここ数年続くこうした構図に加えて、最近目立つようになってきた新たな特徴もある。人手不足が地価に影響し始めた点だ。

REITの取得物件をみると、人手不足への対応として高機能化が進む物流施設が増えている。この結果、全国の工業地の上昇率は住宅地を上回っている。

一方で、人手不足による建築費の上昇で首都圏のマンション価格が高止まりし、売れ行きが鈍い。持続的な賃金上昇による所得環境の改善がないと、住宅地の上昇は続かないだろう。

人口動向の影響も色濃くうかがえる。都道府県別の上昇率をみると、人口が増えている沖縄県が住宅地では最も高かった。

反対に、全国の住宅地で下落率が最大になったのは千葉県柏市の郊外だった。大都市圏ですら人口が伸び悩むなか、魅力が薄れると大きく下落するということだ。

現在の地価動向は景気実態をおおむね反映しているといえるのだろう。地価水準をみても、ほとんどの地域でリーマン・ショック前の2008年よりも低い。

一方で、大阪の道頓堀のように上昇率が40%を超す地点もある。不動産融資は過熱気味なだけに、バブルの芽はないのか、政府や日銀はよく注意してほしい。

春割実施中!無料期間中の解約OK!
日経電子版が5月末まで無料!

保存
共有
印刷
その他

関連キーワード

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報