春秋

2017/3/19 2:30
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太平洋戦争に幕を引いた鈴木貫太郎が首相の座に就いたのは、72年前の4月7日である。サクラは満開のころだったろうか。親任式の控室で閣僚らは「大和」が撃沈された、との報に接した。世界最強を誇った戦艦である。戦局悪化を改めて思い知らされた瞬間だった。

▼「余に大命が降(くだ)った以上、機を見て終戦に導く、そうして殺される」。鈴木は覚悟していたという。海軍で日清、日露両戦争に従軍した古つわものである。侍従長時代には二・二六事件で銃弾を浴び死の淵をさまよった。独断専行する軍人の怖さも含め、戦争は始めるより、終わらせる方が何倍も難しいと知っていたのだ。

▼今月「在日米軍基地の攻撃訓練」と称し、北朝鮮が4発の弾道ミサイルを撃った。うち1発は能登半島の沖200キロの海上に落ちている。庭先だ。米トランプ政権も、やまない挑発に強気の外交に転換した。先制攻撃や体制転換も選択肢という。米韓の軍事演習には米海軍特殊部隊も動員されているとかでキナ臭さが漂う。

▼互いにディール(取引)めいた力の誇示を続けては、偶発的な衝突にもつながりかねない。日本も何らかの関与を求められる可能性があろう。周辺国の利害も絡めば、引き際は、法則通り難しくなる。鈴木は辞世で「永遠の平和」と2度繰り返した。挑発に走ったり、実力を振るったりする前に指導者に思い出してほしい。

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