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東芝問題、ESG投資にも波紋 格付け上位の常連
日経エコロジー編集部 藤田香

2017/3/20 6:30
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 東芝の混迷が続いている。14日に予定していた2016年4~12月期の連結決算発表を2月に続いて再び延期すると発表した。巨額損失を招いた米原子力子会社ウエスチングハウス(WH)の株式の過半を売却することも決めた。揺れる同社に追い打ちをかけるのが、15年4月に発覚した不正会計問題で損害を受けたという投資家からの相次ぐ訴訟だ。

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 16年8月にGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が運用機関を通して約120億円の損害賠償訴訟を起こしたのをはじめ、同10月には海外機関投資家らも提訴。近く三菱UFJ信託銀行など複数の信託銀行も不正会計による株価下落で損害を受けたとして、訴訟を起こす見通し。

 相次ぐ訴訟は、近年広がっている企業によるESG(環境・社会・ガバナンス)の情報開示と、ESG投資にも波紋を投げ掛けている。

 東芝はESGの取り組みに優れているとして、かつてはESG格付けで上位企業の常連だった。サステナビリティ(持続可能性)経営の世界的な指標であるダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス・ワールド(DJSI)には00年以降続けて選出されている(15年8月に除外)。

 温暖化対策に優れた企業を評価するCDP気候変動では、13~14年と16年に優秀企業であるAリストに選ばれている。投資家にとっては安心できる投資先とみられてきたが、それが欺かれる結果になった。

 もちろん、今回の訴訟は東芝の「有価証券報告書の虚偽記載」への提訴であり、同社のESGへの取り組みが優れ、評価も高かったこととは直接的に関係がない。だが、全く関係ないともいえない。この事件を通して、東芝は財務諸表の虚偽を社内で見抜けないほどコンプライアンス(法令順守)が脆弱なガバナンス体制の会社だったことが判明したからだ。

 しかしながら、東芝は社外取締役を複数導入し、外形的なガバナンス体制を整えており、投資家が見抜くことは難しかった。この一件でESG評価によるスコアの限界が露呈した形になった。

 原発事業のリスクの見極めも、「投資家によって2通りに分かれていただろう」と、日本総合研究所の足達英一郎理事は指摘する。

 原発が地球の持続可能性に負のインパクトを与える事業であり、そこに大きく依存する経営をリスクと捉えた投資家もいれば、温暖化ガス排出量が少なく環境にポジティブだと捉えた投資家もいただろう。

 足達理事は「ESGスコアには限界がある。投資家はその企業のマテリアリティ(重要課題)を見極めて検証する必要がある」と話す。

 英国審査機関大手の日本法人、ロイドレジスタージャパンの冨田秀実取締役も「ESGの質問書は方針を尋ねるものであり、その方針が企業で機能しているかどうかはスコアで見抜けない。最近は点数取りに走る企業もある」と懸念を示す。

 財務情報と違って、非財務情報には義務的な開示基準と保証基準がなく、不都合な情報を開示しない企業も存在する。「管理職を係長以上とするか課長以上とするかなど各社の解釈はまちまちだ。二酸化炭素(CO2)排出量を国内拠点しか開示しない企業や、女性管理職比率、労災人数など都合悪い情報を開示しない企業もある。高評価を狙ってマテリアルな情報を開示しないと信頼を損なう」(冨田取締役)

 ESG投資が活発化し、ESG情報も氾濫しつつある。こうしたなか、投資家は外形的な情報だけでなく、企業とのエンゲージメント(対話)を通して企業の重要情報を見極める必要性が今まで以上に増している。

[日経産業新聞2017年3月16日付]


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