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百貨店は生き残りに向けて構造改革を

百貨店大手、三越伊勢丹ホールディングスの大西洋社長が、業績不振の責任を取って退くことになった。ネット通販の台頭などで、百貨店業界の売上高は最盛期の9兆円台から5兆円台まで縮んだ。生き残りのためには各社とも抜本的な構造改革が必須といえる。

流行のファッションや海外などのライフスタイルをいち早く提案し、感度の高い客を引きつけるのが百貨店の強みだった。しかし人気のテナントを集めたショッピングモールが郊外に増えたり、消費者が商品情報をネットで集めて購入するようになったりした結果、強みは急速に薄れている。

大西社長は改めて百貨店の原点に戻り、都心の基幹店で最先端の流行情報を発信したほか、他店との同質化を避けるため独自商品を開発するなどの策を打ったが、実を結ばなかった。従来型の百貨店の理想像を追う難しさを示したともいえる。

日本の流通業界が手本とすることの多い米国では、ネット通販に押された大手百貨店が相次ぎ大量閉店を決めている。日本でもネット通販がますます拡大するのは確実だ。小売業界は業態を問わず、この流れに備える必要がある。

その際、もっとも肝心なのは、消費者にとって価値のある店や企業を目指すことだ。

消費不振の中でも、JRグループの駅ビルは比較的、売り上げが好調だ。通勤途中などに立ち寄れる便利さだけでなく、売り上げ不振のテナントはすぐ入れ替えるなど、消費者本位の運営が支持された。百貨店にはこれまで、客より納入業者に目を向けがちな空気はなかったか。厳しく反省したい。

「ユニクロ」や「ニトリ」といった専門店チェーンの台頭で、消費者が衣料品やインテリアなどに支払ってもいいと考える価格の水準はぐっと下がった。百貨店の価格設定はこれまで通りでいいのか。ここも見直すべき点だ。

仕入れや価格の見直しには構造改革が不可欠となる。自社で対応できなければ、魅力のある専門店チェーンにフロアごと入居してもらうのもひとつの手だ。一部の百貨店は、すでにこうした貸しビル化に活路を求め始めている。「百貨店らしさ」は減るが消費者には喜ばれ、人件費負担も減る。

小売業界は、最後は消費者に支持される店だけが生き残る。自社が提供すべき価値は何か。厳しく問い直してほしい。

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