南ア株の上昇一服 商品市況の過熱感が重荷
世界株番付
南アフリカの株式相場の上昇が一服した。急ピッチで水準を切り上げた資源価格に短期的な過熱感が浮上し、けん引役だった資源株の勢いが鈍った。商品市況との連動性を裏付けた格好だが、主要企業の財務基盤は持ち直しつつある。市場では相場の先行きを楽観的にみる雰囲気もある。

ヨハネスブルク証券取引所に上場する40銘柄で構成する株価指数「FTSE/JSEトップ40」は1月下旬に昨年9月以来の高値をつけたが、その後は上値が重くなった。南ア株は鉄鉱石やプラチナなどの資源関連の比重が高く、商品市況に左右されやすい。
象徴的なのが、英ロンドン証券取引所に重複上場する資源大手のアングロ・アメリカンだ。鉄鉱石価格は足元で1カ月ぶりの安値に下落。株価がこの1年間で6割超上昇したこともあり、利益確定を目的とした売りに押される展開が目立ち始めた。
ただ、相場の先行きを悲観するムードは乏しい。足元こそ逆風が吹くが、資源価格は一時期と比べると大幅に上昇。資源大手の収益力は改善したためだ。

米シティグループの新興国担当ストラテジスト、リチャード・シェルバッハ氏は、南ア株について「(新興国株のなかで比較すると)株価指標は過去5年で最も魅力的な水準」と指摘する。2016年の経済成長率は7年ぶりの低水準に沈んだが、今後は企業業績の改善が期待できるとみる。
金融政策への期待も相場を支える要因となる。通貨ランドは対ドルで1年半ぶりの水準まで持ち直し、インフレ率の上昇も一服しつつある。市場では南ア準備銀行(中央銀行)が引き締めサイクルを終えるとの見方が出ている。
(ロンドン=黄田和宏)
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先週(6~10日)の世界の株式市場は主要25市場のうち18市場で下落した。商品市況が軟調でブラジルなど資源国株の下落率が大きかった。欧州政局への懸念から欧州株も小幅安だった。

[日本経済新聞夕刊3月13日付]