片づけの鉄則、まず服から こんまりメソッド
かさがあり、効果実感しやすく

片づけコンサルタント、近藤麻理恵さんの「こんまりメソッド」。その第一歩は衣類から。手持ちの服すべてを床に積み上げ、「ときめき」を感じるものを選ぶ作業に没頭してみよう。

「不要な物はばっさり捨てよう」と勇んで始めたものの、収拾がつかなくなり元のもくあみ……。そんな経験のある人は多いだろう。
「こんまりメソッド」の鉄則は、片づけの順番だ。まずは衣類、そして本、書類、小物類。最後に手をつけるのが思い出の品となる。思い出の品はつい見入ってしまい、片づけがそっちのけになることもある。
残すかどうか判断しやすいものから片づけていく。日本ときめき片づけ協会(東京・品川)の安藤貢代表は「かさのある衣類は効果を実感しやすい。片づけが進むと自分が本当にときめくものだけになっていくので、やる気が増す」と話す。
まずは家中にある自分の衣類を一つ残らず出し、床に積み上げてみよう。このとき、部屋別ではなくモノ別に片づけるのがこんまり流だ。冬服も夏服も関係ない。とにかく1カ所に集めてみる。大して持っていないと思っていても、意外な山ができて驚くはず。どれだけ同じような服を持っているかを認識できる。
手に取って 触れて感じる
すべてを集めたら、ここからは選別作業だ。ただし、右から左へ何でも処分する「捨てるマシン」と化してはいけない。目的は処分するモノを選ぶのではなく、残すモノを選ぶこと。そのためには「一つ一つ必ず手に取り、触れてみて」と安藤さん。触れて「ときめき」を感じるようなら残すモノだ。

「ときめき」なんてよく分からない、という人でも「これを着ると前向きな気持ちになる」という服はあるはず。
例えば1週間分の通勤着があるとする。「このスーツはそんなに好きじゃないけど、ローテーション上欠かせない」とか「このジャケットの微妙なシミが人に気づかれないか、いつも気になる」。そういう服ではなく、着ていて自分に自信が持てる服を残すよう心がけよう。
ローテーションが気になるなら、残した服を最大限活用する方法を考えよう。スカーフ一つでも印象は変わる。「10着しか持たないフランス人をまねして小物使いでオシャレを楽しむなど、ときめく服や小物を大切に使う方法をじっくり考えてみると良い」と安藤さんは言う。
とはいえ処分となると、必ずもたげてくるのが「もったいない」という思い。新品同様だと罪悪感から「部屋着にしよう」と残しがちだが、ここはぐっと我慢する。ほとんど着ていない外出着は着心地がいまいちなど理由があるはず。「人が見ていないから何でもいい」ではなく、家の中でもお気に入りのモノで身を包む幸せを実感してみよう。
処分と収納 同時にしない
どうしても選別できない場合は、その服を実際に着て過ごしてみる。それで気が済む場合もあるし、逆に「この服の刺しゅうが好きだから、そこだけを額に入れて飾りにしよう」など、残して使うアイデアも真剣に考えるようになる、と安藤さんは説く。モノ一つ一つと真剣に向き合い、手放すモノには感謝することで初めてモノとの関係に「片をつける」ことができるという考え方だ。そのためにも1カ所に集めて向き合うことが大事になる。
選別で重要なのは「一気に、短期に、完璧に」やり遂げること。頓挫しないためには処分と収納を同時に進めないことだ。まずは自分が幸せな気分になれる服だけにする。量が多い場合は服をさらにカテゴリーに分けてみよう。シャツなどトップスから始めると選びやすい。パンツ・スカートなどのボトムス、ジャケット・スーツ・コートなど掛けるもの、靴下、下着類、バッグ、マフラー・ベルト・帽子などの服飾雑貨、浴衣・水着などのイベントもの、靴もこの段階で選んでしまおう。
次に待つ作業が収納だ。衣類をたたむ収納術は4月に掲載する。
[NIKKEIプラス1 2017年3月11日付]
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