2019年5月27日(月)

物流の革新で宅配の人手不足に対応を

2017/3/1 2:30
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ヤマト運輸の労働組合が今年の春季労使交渉で、宅配便の引受総量の抑制を会社側に求めた。インターネット通販の拡大と運転手不足による現場の疲弊が原因だ。同社に限らず、運送分野の人手不足は業界共通の課題となっている。

宅配便は今では生活やビジネスに不可欠な存在だ。IT(情報技術)やロボットの活用、料金体系の見直しなどを通じ、サービスの向上と労働環境の改善の両立に挑戦してほしい。

宅配便全体の約2割が不在時の再配達とされる。ネット通販の中心は他人への贈答品ではなく、自分用の買い物だ。発注時に受取日時を指定し、配達回数に応じて料金を変えるようにすれば、無駄足は減るだろう。運送会社と大手通販会社が協力すれば可能だ。

急ぎではない荷物は定期的にまとめて配達する方法もある。利用法の変化に応じたサービスメニューの工夫が求められる。

物流施設の高機能化も有効だ。宅配サービスの拡大に対応するため、大都市の近郊では運送会社や不動産会社、通販会社による大型物流センターの建設ラッシュが続いている。

新しい施設にはロボットなどを活用し、人手に頼らず効率的に仕分け作業などを済ませられるところも多い。浮いたコストや人員を配分し直すことで労働条件を改善したり、宅配と高齢者の有料見守りを組み合わせた新サービスなどを始めたりすることもできる。

規制緩和も進めたい。運輸業界からは路線バスの空きスペースで貨物を運ぶ客貨混載を広く認めてほしいとの要望が出ている。無線技術を使い複数の車両を1人の運転手が同時に走らせる隊列走行の実験も始まった。実現すれば運転手不足の緩和につながる。

企業間連携も一段と進めたい。異なる宅配便会社が共同で配達したり、駅やマンションに受け取り用のロッカーをもっと設けたりすれば、利用者にも便利になる。

経済成長が著しい新興国も含め、いかに少ない労働力で高度な物流サービスを提供するかが各国共通の課題になりつつある。米通販大手のアマゾンが無人ヘリコプターでの配達を研究するなど、物流技術に関する研究開発は世界的に盛んだ。

日本の物流業界や通販業界もこの波に乗り遅れるべきではない。人手不足を物流のイノベーションにつなげたい。

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