2019年4月25日(木)

米法人税の国境調整措置は経済に有害だ

2017/2/24 2:30
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米下院共和党が法人税の抜本的な改革案について、トランプ政権と内容の調整を進めている。

下院共和党が昨年まとめた改革案は、高すぎる税率の引き下げや投資の即時償却制度の導入など理解できるところも多い。問題は国境調整措置の導入によって輸入に高い税を課そうとしている点だ。実現すれば、米国や世界の経済に甚大な悪影響を及ぼしかねない。この部分の実施は見送るべきだ。

国境調整は、輸出による収益を免税とする一方、輸入にかかる費用を課税所得から控除するのを認めないという仕組みだ。

世界貿易機関(WTO)は、消費税など付加価値税で国境調整することは認めている。だが、法人税での導入は国際競争上問題があるとして容認しておらず、改革案が実現すればルール違反と判定する公算が大きい。

それ以上に心配なのは、輸入への重課税がもたらす経済への影響だ。輸入品を売る米国の小売業者の利益が圧迫されたり、価格転嫁で消費者の負担が急増したりする恐れがある。対米輸出が多い海外企業にも当然大きな打撃になる。

国境調整措置を導入してもドル相場の上昇によって影響はすぐに相殺されるとの見方もある。だが、その通りになるか不透明なうえ、ドルが仮に急上昇すれば、世界の金融市場が動揺しかねない。

トランプ政権は国境調整措置の導入について明確な見解を示していない。小売業者をはじめとした反対論も強まっており、対応に迷っているようにもみえる。

ただ、政権内には輸入を抑えて貿易赤字の縮小をめざす考えが根強くあり、下院案に賛同する可能性もある。下院案を退けたとしても、トランプ大統領が選挙戦で主張したような高関税政策に走れば、問題はより大きくなる。

米国の企業課税を抜本的に見直すこと自体は間違っていない。現行制度には問題点も多いからだ。

たとえば、米企業は海外で稼いだ収益を国内に還元する際に、巨額の税の支払いが必要になる場合が多い。ほとんどの日欧企業が原則無税で海外収益を国内還元できるのと対照的だ。この税制の違いが、欧州など海外に本拠地を移す米企業が多い一因になっている。

法人税改革によって国内経済の活性化をめざしたいなら、こうした特異な税制の見直しを急ぐべきだ。内外経済を揺るがしかねない国境調整にこだわる時ではない。

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