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ウルトラマンに変身、ARで「テクノスポーツ」

(藤元健太郎)

子供の頃、自分もスペシウム光線を発射できたらと憧れた人は多いと思う。ナンジャタウン(東京・豊島)で開催中のイベントでは、子供達が拡張現実(AR)の技術を利用したアトラクションでウルトラマンに変身し、光線を打ちながら怪獣を倒すゲームを楽しんでいる。

ここで採用されている「HADO」というシステムはARのゴーグルをかけ、腕にセンサーをつけて使う。ドラゴンボールのかめはめ波のような光線を発射して敵の陣地を破壊したり、一緒にドラゴンを倒したりすることができるものだ。

こうして書くとゲームのように聞こえるかもしれないが、実はHADOはスポーツとしての普及を目指している。

韓国や中国を中心に、世界ではすでにeスポーツというプロのゲーマーが競うジャンルが確立している。

日本はニンテンドーDSやプレイステーションなどゲーム専用機が普及したため広がっていなかったが、オンライン対戦型PCゲームが普及した韓国などでは、15年ほど前からゲーマーがプロスポーツ選手として扱われている。

スポンサーがついている選手もたくさんいてテレビ番組で解説付きで放送されており、まさにスポーツそのものだ。市場規模は世界で1000億円に達するといわれる。

こうしたeスポーツがPCゲーム中心だったのに対して、HADOを提供するmeleap(東京・港)の福田浩士・最高経営責任者(CEO)はARの技術を使いながら、あくまで自分の体で行うスポーツとして捉えている。

「かつて自動車が登場してモータースポーツが生まれたように、新しいテクノロジーを使ったスポーツを『テクノスポーツ』として普及させていきたい」と福田CEO。また、HADOでは自分好みに設定を変えられ「プログラミングを勉強しながら体育もできる新しい教育の可能性もある」と可能性を語る。

HADOはすでに昨年、大会を開催している。総額100万円の賞金を巡って20チームが対戦して盛り上がった。プロスポーツを目指す以上は観客も大事だが、ニコニコ動画の実況解説付き放送で3万3000人が視聴してコメントもついたそうだ。第2回は今秋に開催を目指す。海外からの参加も予定され、まさにワールドカップになっていく。

愛好家たちは色々な楽しみ方をしている。HADO専用の靴をおそろいで作って練習するチーム、コスプレも楽しむチーム。練習の様子を動画サイトに投稿する人達も生まれているようだ。

人工知能(AI)やロボットが普及する時代でも、スポーツだけは残るだろう。人間が自分の体を使って汗をかき、脳内でアドレナリンを出して戦う達成感。それを見て大勢で感動を共有できる体験を自動化しても意味はない。

さらにテクノスポーツは高齢者になっても楽しめるように設計でき、高齢化社会のスポーツ人口を拡大する可能性も大きい。技術でスキルにハンディキャップもつけられるのでプロとアマチュアが戦うことも可能になるだろう。

競技場も特別なものはいらなくなるので、手軽にどこでも世界中の人と対戦して楽しめるようになる。ファッションとしても様々なセンサーと融合する最初のジャンルになるかもしれない。

テクノロジーと人間らしさを融合させたスポーツビジネスは、成長が約束された市場といっても過言ではない。

(D4DR社長)

[日経MJ2017年2月17日付]

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