2019年7月23日(火)

偽造薬の流通を断固はばめ

2017/2/16 2:30
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薬の偽造品が市中の薬局に出回るという事件が起きた。信頼して薬を服用している患者に健康被害が出かねない、危険な事態だ。政府や医療関係者は原因究明と再発防止に全力を尽くしてほしい。

見つかったのはC型肝炎治療薬「ハーボニー配合錠」の偽造品。この薬は2年前に認可されたばかりで、治療効果が非常に高いとされる。一方で1錠の薬価が5万円以上もする高額品だ。

問題の偽造薬は、奈良県の薬局が正規の流通ルート以外から仕入れ、患者に処方した。異常に気づいた患者の通報で発覚した。

明らかな違法行為であり、捜査当局は偽造した人物をすみやかに見つけだし事件の全容を解明する必要がある。同時に、薬局の責任や不透明な医薬品の流通システムも、問われなくてはならない。

偽造品を扱った薬局は、余った薬を医療機関から買い取り転売する「現金問屋」といわれる業者から仕入れたという。用法などを説明した添付文章もついていなかったことから、その段階で法令違反を疑えたはずだ。だが正規ルートより安いので仕入れたという。

安ければ安いほど薬局の利益は膨らむ。しかし薬は命にもかかわる商品だ。また、この薬は公的な健康保険制度の中で使われるもので、その財源は健康保険料や税金である。医療関係者には高度な倫理観も求められるはずだ。

流通にかかわった関係者には、法令に照らした厳正な処分をする必要がある。と同時に、関係する業界が独自に規律を引き締める努力も求められる。

「現金問屋」といった不透明な流通システムも、見直しの余地はないか議論すべきだろう。製薬企業も偽造品を防ぐため製品の形状や包装に工夫をしてほしい。

医療の世界では膨大な研究開発費を投じた高額な医薬品が次々と登場している。偽造薬でひともうけを狙う犯罪もさらに増えかねない。ネット通販では偽造薬がかねて問題になっている。政府や関係業界は警戒を強めるべきだ。

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