新風 Silicon Valley(日経産業新聞)

フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

移民の野心と破壊的思考 シリコンバレーの原動力
ジョアナ・ドレイク・アール(コア・ベンチャーズ・グループ ジェネラルパートナー)

2017/2/17 6:30
共有
保存
印刷
その他

 知的で大胆ではあるが、持っているのは野心だけ――。こうした起業家にとって、シリコンバレーは20世紀半ばからやさしい町であり続けた。米国の伝統的な産業界で成功するには、裕福な一族、業界でのつながり、そして何年もかけて企業の中で出世していくことが必要だった。ところが、シリコンバレーでは、資金やコネがなくても、起業に適した環境への入り口を見つけられる。何もないところから数十億ドル規模の巨大企業を築き上げられる。こうした市場機会こそが、シリコンバレーと起業家、なかでも移民としてやってきた起業家たちの間に存在する相互利益関係の基礎にあるものだ。

Current TVなどのメディア関連企業のエグゼクティブやDeNA Westの最高執行責任者を経て、コア・ベンチャーズ・グループのジェネラルパートナーに就く。スタンフォード大学修士、カリフォルニア大学バークレー校卒。

Current TVなどのメディア関連企業のエグゼクティブやDeNA Westの最高執行責任者を経て、コア・ベンチャーズ・グループのジェネラルパートナーに就く。スタンフォード大学修士、カリフォルニア大学バークレー校卒。

 そうしたシリコンバレーを象徴する起業家として頭に浮かぶのは、インテルのアンディ・グローブ氏(ハンガリー出身)、サン・マイクロシステムズのビノド・コスラ氏(インド出身)、グーグルのセルゲイ・ブリン氏(旧ソ連出身)、イーベイのピエール・オミダイア氏(フランス出身)、ヤフーのジェリー・ヤン氏(台湾出身)などだろうか。

 彼らはいずれもシリコンバレーの実力社会が力を与えた才能ある「よそ者」の挑発者たちである。彼らはその能力を十二分に発揮して、それぞれの業界で革新を起こした。

 よそ者によるサクセスストーリーはシリコンバレーの伝説にとどまっていない。移民による起業とその成功はより顕著になっている。最近の成功事例をとってみても、オンライン決済や電気自動車、宇宙旅行事業のパイオニアとして知られるテスラのイーロン・マスク氏(南アフリカ出身)、ハフィントンポストの共同創立者アリアナ・ハフィントン氏(ギリシャ出身)、ユーチューブの共同創立者スティーブ・チェン氏(台湾出身)、ワッツアップの共同創立者ジャン・コウム氏(ウクライナ出身)、インスタグラムの共同創立者マイク・クリーガー氏(ブラジル出身)、ハウズの共同創立者アディ・タタルコ氏(イスラエル出身)など、数え上げればきりがない。

スペースXやテスラを率いるイーロン・マスク氏は南アフリカ出身
画像の拡大

スペースXやテスラを率いるイーロン・マスク氏は南アフリカ出身

 私のビジネスパートナーの赤嶺新哉氏も、日本からシリコンバレーにやってきて電子メールセキュリティーサービスのポスティーニ(後にグーグルが買収)を創業した。私はそのことを誇りに思っている。

 データを見れば一目瞭然だ。2016年に10億ドル以上の価値をつけられた「ユニコーンクラス」と呼ばれる非上場のスタートアップ(ベンチャー企業)のうち、過半数が移民によって創立された。創立者だけではない。70%以上のユニコーンクラスは、主要な役員や製品開発の指導陣に移民が名を連ねている。この傾向は上昇するばかりだ。全米ベンチャーキャピタル協会によると、06年には株式公開したスタートアップの25%が移民による創立だったが、13年にはその数字が33%に増加している。

 移民がここまで重要な役割を担っていることは驚くべきことではない。経験や視点の多様性が、起業家の抱える古い問題に新たな解決法を与えることができるからだ。破壊的思考と何か大きなことをしたいというハングリー精神。それらが起業家を不可能への挑戦に駆り立てる。それがスタートアップの社員のやる気を引き出し、革新的なアイデアの実現へと導く。

 多様性の重要性はこれまでの経験から明らかだ。異なる経験や世界観を持つ移民の才能と偉大な産業とのパートナーシップがもたらしてきたシリコンバレーの原動力が現政権により脅威にさらされている。

[日経産業新聞2017年2月14日付]


「日経産業新聞」をタブレットやスマートフォンで

 全紙面を画面で閲覧でき、各記事は横書きのテキストでも読めます。記事の検索や保存も可能。直近30日間分の紙面が閲覧可能。電子版の有料会員の方は、月額1500円の追加料金でお読み頂けます。


人気記事をまとめてチェック

「テクノロジー」の週刊メールマガジン無料配信中
「テクノロジー」のツイッターアカウントを開設しました。

新風 Silicon Valley(日経産業新聞)をMyニュースでまとめ読み
フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

共有
保存
印刷
その他

電子版トップテクノロジートップ

【PR】

新風 Silicon Valley(日経産業新聞) 一覧

フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

独SAPのシリコンバレーオフィス(カリフォルニア州パロアルト)

シリコンバレーの独企業に学ぶ 革新生む型づくり

 日本企業の「シリコンバレー熱」は冷めず、日本からの視察団が引きも切らず訪れる。しかし残念ながら「面白いけれども、文化が違いすぎる」との感想で終わることも多いようだ。
 なぜなら多くの日本企業にとっての…続き (10/6)

グーグルの新本社の内部のイメージ図(2015年2月公表)

サンノゼが大変貌 グーグルの超巨大オフィス計画

 「シリコンバレー」という言葉は世界的に知られているが、実はこの言葉は具体的な地名ではない。
 「シリコンバレーにおける主要都市はどこですか」と聞いたら、多くの人は「サンフランシスコ市だ」と答えるだろう…続き (9/29)

2016年10月から一定の条件を満たすと年収106万円以上なら社会保険料負担が生じる

変化に対応するには「戦略」より「仕組み」が重要

 企業戦略が重要と言われるようになって久しい。企業が成長していくには、市場や顧客のどこを攻めるのかを決め、どこに自社の強みや弱みがあるのかを把握する必要がある。行き当たりばったりでなく、ちゃんと考えま…続き (9/22)

新着記事一覧

最近の記事

【PR】

TechIn ピックアップ

10月18日(水)

  • Apple、iOS/macOSなど全OSでWi-Fi脆弱性の対応パッチを近く提供へ
  • NEC、働き方改革推進の「見える化サービス」などを強化―勤務状況を可視化
  • スマホに続く市場?AIスピーカーでGoogle、LINE、Amazonが火花

日経産業新聞 ピックアップ2017年10月18日付

2017年10月18日付

・百度の日本法人、部屋の壁に動画投映するAI照明 来夏に国内販売
・ソニーモバイル、筒型ロボット発売へ 家族の一員に
・楽しい運転、脳波で測る 産総研
・GMO ビットコイン採掘に100億円 独自半導体で中国勢に挑む
・三菱ふそう、トラックの機能をスマホで操作 車両データも遠隔確認…続き

[PR]

関連媒体サイト