2019年4月19日(金)

再犯防止に向けた刑罰見直し議論深めよ

2017/2/10 2:30
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罪を犯した人に対する懲罰や、立ち直りに向けた指導・教育はどうあるべきか。現行刑法が制定された1907年(明治40年)以来変わっていない懲役刑などの刑罰の見直しについて、金田勝年法相が法制審議会に諮問した。

現在の制度には、懲罰の一環として木工や洋裁などの刑務作業が義務付けられる懲役刑と、作業をしなくてもいい禁錮刑がある。

法務省はこの2つを一本化したうえで、起こした犯罪や心身の状況など受刑者個々の特性に応じ、更生に向けた教育に重点を置く新たな刑罰を検討している。刑務所を「再犯防止に向けた場」と、より明確に位置づけることになる。

犯罪の発生件数が減るなか、出所後に仕事や身寄りがない人などの再犯率の高さが大きな問題になっている。いまの刑罰が社会復帰につながっていない、との指摘もある。こうしたことを受け、刑務所が受刑者の再犯防止に力を入れることは理解できる。

ただ受刑者の特性をどう見極め、どのような指導や教育プログラムを受けさせるかなど課題は多い。高齢で認知症になったり障害を抱えたりしている受刑者には、福祉面からのアプローチも必要だ。専門性のある人材や教材の整備は簡単ではない。

犯罪被害にあった人たちの間では、「懲罰」の意味合いが薄まるのは納得できないとの声も多いのではないか。更生教育とのバランスをどうとるかは難しい問題だ。

法制審では結論を急ぐことなく、実際に刑務所で働いている人や、犯罪の被害者、刑事政策の専門家らの声を幅広く聞いて、議論を深めてもらいたい。

別の疑問もある。刑罰の見直しに併せて、法相は少年法の適用年齢を現行の「20歳未満」から「18歳未満」に引き下げることを諮問した。新たな刑罰を設ける案は、もともとこの少年法の議論にともなって出てきたものだ。

対象年齢を引き下げると、これまで少年院に送られていた18、19歳が刑務所に入る例が増え、更生に向けた教育が手薄になるという指摘が強かった。

こうした批判をかわすため、刑務所のなかに教育の受け皿をつくろうという考えがあるとすれば、本末転倒だろう。少年、成人にかかわらず、犯した罪への反省を迫り、円滑な社会復帰にもつながるような実効性ある制度への見直しを期待したい。

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