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多様性の配慮はグローバル企業の責務だ

トランプ大統領の難民や環境などに関する政策に対して、米国の大企業が異議を表明している。競争力が長期的に低下しかねないという懸念のほか、世界各地で事業を展開するグローバル企業としての責任感が、背景にあるといえるだろう。

米企業からの異論が強いのが難民や「テロ懸念国」の市民の入国制限だ。たとえば金融業はトランプ相場の追い風を受け業績は回復しているものの、人材の多様性が失われれば競争力が低下しかねないと見ているようだ。

2016年10~12月期の純利益を3倍に増やしたゴールドマン・サックスのブランクファイン最高経営責任者(CEO)は「多様性を保つことは選択肢ではなく義務」などと表明している。

アップルのクックCEOが「(入国規制は)我々の支持する政策ではない」と述べるなど、IT(情報技術)企業の間でも排外主義的な政策への懸念が強い。「人びとのつながりを支援するためになすべきことは多い」。フェイスブックのザッカーバーグCEOは決算時に、入国制限による社会の分断への危機感を示した。

米企業がトランプ大統領の政策に注文をつける例は、移民・難民問題に限らない。

大統領就任が迫った1月10日には、デュポンやナイキなど630以上の企業や団体が、新政権に対して温暖化対策の国際的な枠組みである「パリ協定」を順守するよう要請した。

従業員の国籍や人種に多様性を確保し、地球環境に配慮することは、企業が社会的に受け入れられるための必須条件ともいえる。

社会に認められない事業は長続きしない。ウーバーテクノロジーズのカラニックCEOは大統領への助言組織から辞任したが、政権との距離の近さが不買運動など現実の事業リスクになりかねないとの判断もあったようだ。

公的年金の間では企業の社会問題への取り組みを投資の評価軸のひとつに加える動きが広がっている。トランプ大統領の政策に異議をとなえる米企業は、そうした市場の圧力も受けている。

今後、日本に対してもトランプ大統領がさまざまな要求をつきつける可能性がある。投資の拡大や雇用の創出など協力できることは協力しつつ、日本企業もまたグローバル社会の一員としての懸念を米大統領に伝えていくべきだ。

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