脱デフレの長期戦に細心の目配り保て

2017/2/1 2:30
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日本銀行は1月の「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)で日本経済の先行きにやや強気の判断を示した。2016年度と17年度の実質国内総生産(GDP)は政策委員の見通しの中央値でそれぞれ1.4%増、1.5%増と、16年10月の前回に比べ各0.4ポイント、0.2ポイントの上方修正をした。

トランプ米大統領が打ち出した大型減税や積極財政策への期待から市場で円安・ドル高が進み、海外経済の回復傾向もみられることが見通し好転の要因だ。政府がGDP統計の基準を改定し数字が上振れした面もある。

デフレからの脱却へ長期戦に臨む日銀にとって円安は追い風だが、足元の物価上昇の勢いは弱い。17年度以降の物価予測は据え置いた。頼みの綱の円安に反転のリスクもある。消費者物価上昇率を年2%に高める目標の達成へ細心の目配りが必要だ。

民間銀行が日銀に置く当座預金の一部に「手数料」を課すマイナス金利政策の導入決定から1年がたった。市場金利は大幅に低下したが、黒田東彦総裁が「半年、1年もかからない」と語った実体経済へのプラス効果は「まだ多くは生まれていない」(全国銀行協会の国部毅会長)との声が多い。

貸家市場で銀行の融資過熱によるミニバブルの発生が指摘されるなど、弊害も生まれている。

日銀は昨年9月、長期金利の代表的な指標である10年物国債金利をゼロ%前後に操作する措置を導入し、金融政策の目安を量から金利に変えた。長短の金利差が広がり、資金を仲介する金融機関の利ざやはやや改善した。

米連邦準備理事会(FRB)は昨年末に政策金利を引き上げ、17年中も利上げ継続が見込まれる。長期金利をゼロで固定する日本との金利差拡大の思惑から円安が進みやすい。

だが、こうした構図には変化の兆しがある。トランプ大統領は対日貿易赤字に不満を示しており、ドル高への懸念にも言及した。日銀の政策に不満を示すことも予想される。「為替水準を目標にしていない」(黒田総裁)という説明が通るかどうかは微妙だ。

保護主義の動きが強まり、世界や日本の経済に悪影響を及ぼす展開も懸念される。トランプリスクで追い風が逆風に転じる事態も想定し、日銀と政府は強力な成長戦略の実行と合わせたデフレ脱却の努力を粘り強く続けてほしい。

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