2018年11月18日(日)

花園準V3回 御所実ラグビー部監督・竹田寛行(上)

2017/1/30 15:30
保存
共有
印刷
その他

全国高校ラグビー大会で2008年度以降に準優勝3回。竹田寛行は奈良県立御所実高のラグビー部を率いて28年目を迎える。今年の花園も私学以外で唯一の8強に残り、準決勝まで駒を進めた公立の雄は、ひたむきに楕円球を追う姿で見る者の目を奪った。

御所実業を全国優勝がつかめる位置まで鍛え上げた

御所実業を全国優勝がつかめる位置まで鍛え上げた

Aシードで臨んだ今季の準決勝。2年前の決勝で5―57と大敗を喫した東福岡(福岡)に24―25で敗れたものの、高校3冠の王者を最後まで慌てさせた。FWの平均体重で11.4キロも上回る相手に対し、前半にモールから3トライ。組織力を前面に出した伝統のモールは、見せ場十分だった。

御所実にとって長年、全国優勝6度を誇る天理が目の前の大きな壁だった。高速のパスラグビーを展開していたこの名門に対し、就任当初の竹田が「打倒天理」のテーマに据えたのが「日本一遅いモールをつくろう」だった。「ゆっくり時間をかけて球を運んでいく。集団で固まれば小さなミスが致命的にならないし、相手に球を渡さずに時間稼ぎもできる」。ラグビー未経験の入部者が多かった時代。細かい技術を教え込む時間がない中で、いかに生徒たちに成功を味わわせるかを考えたのが原点だ。

変幻自在のモールで体格差はねのける

1995年度に前身の御所工として花園に初出場してから、10度の出場を積み重ねてきた。モールを組む際の味方の体へのつかまり方、川の水の流れのように押し込むための力の方向性――。ノウハウを蓄積してモールのバリエーションを増やしつつ、ディフェンスを鍛え上げ、他の強豪校より体格で劣るチームを例年、全国レベルに引き上げてきた。

平日約2時間の全体練習では、大きな相手に攻められたことを想定し「トリプルアクション」という合言葉を徹底。不利な体勢で倒れたところから起き上がり、周囲の味方と声を掛け合って崩れた守備陣形を立て直し、再びプレーに参加する一連の動きを素早く何度も繰り返す。こうした意識を植え付けるため、竹田は練習後のミーティングで課題を指摘すると、上級生と下級生を1対1で向き合わせ、下級生に話の内容を報告させる。「話をしっかり理解させることが大事。素直に学び取ろうとする誠実さが出てきて、チーム内での自らの役割や責任も考えるように成長する」

花園準優勝を経験し、帝京大の2年生WTBとして大学選手権8連覇に貢献したOBの竹山晃暉は「1人が3つの仕事をしろと口酸っぱく言われた。リアクションが速くなり、体の小ささもかえって御所の強みになった」と振り返る。

機敏にグラウンドを動き回るスタイルに憧れ、全国からの入部希望者は年々増加。2年前からは県がラグビー部を対象に各学科の定員の10%まで全国からの受け入れを可能にするなど、支援体制が築かれてきた。全国優勝がつかめる位置まできた竹田。だが、指導者人生は廃部危機からのスタートだった。

(敬称略)

〔日本経済新聞夕刊1月30日掲載〕

今なら有料会員限定記事もすべて無料で読み放題

保存
共有
印刷
その他

関連キーワード

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報