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シリア和平に米国も関与を

内戦が続くシリア情勢の打開を目指す和平会議が、カザフスタンの首都アスタナで開かれ、シリアのアサド政権と反体制派の代表らが参加した。

内戦の当事者が顔をそろえたこの機会を、6年近い悲劇を終わらせる入り口にしなければならない。そのためには和平を後押しする国際社会の連携が重要だ。なかでも米国の関与が不可欠である。

会議を仲介したロシア、トルコ、イランの3カ国は昨年末に発効した停戦を監視する仕組みを設けることを決めた。和平を進めるにはまず、衝突の再燃を防ぐことが必要だ。3カ国の役割は重い。

米トランプ政権の発足直後に開かれた今回の会議で、米国からの参加は大使級にとどまった。

シリア和平はこれまで、米国とロシアが中心になって探ってきた。しかし、過去の協議は頓挫を繰り返してきた。反体制派を支援する米国と、アサド政権側に立つロシアの対立が前進を阻んできた面は否定できない。

シリア内戦はアサド政権軍が第2の都市アレッポを奪還するなど、政権の優位が鮮明になりつつある。米新政権が軌道に乗る前に、ロシア主導でシリアの将来像を決めてしまいたい。そんな思惑があるとすれば禍根を残す。

トランプ米大統領は就任演説で、イスラム過激派のテロ撲滅を訴えた。過激派組織「イスラム国」(IS)の掃討で、ロシアとの協力にも前向きだとされる。

拡散するテロへの対処は国際社会の緊急課題だ。IS掃討で米ロが協力することは歓迎したい。ただし、軍事作戦だけでテロや難民の問題は解決しない。中東の政治とその地域の人々の生活を安定させる、息の長い取り組みとセットで進めることが欠かせない。

ロシアの一方的な行動を抑えるためにも、米国はシリア和平に積極的に関わっていくべきだ。国際社会全体で和平を実現する環境をつくっていくことが、トランプ大統領が掲げる米国の安全を高めることにつながるはずだ。

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