ヨレヨレ下着の替え時は?
クローゼットの洋服はこまめに整理整頓するのに、パンツやシャツはたまってしまいます。妻もお気に入りは捨てづらいとよくこぼします。下着はどのタイミングで買い替えればいいのでしょうか?
ストラップの緩み目安
人に見られることがほとんどないこともあり、買った下着をなんとなく着用し続ける人は多い。だが、ワコールのストア営業部、茂木都美子さんは、「ブラジャーは古くなってしまうとバストをしっかり支えられなくなり、胸が垂れてしまうなどの変化が進んでしまう」と話す。下着の劣化によって、体のラインが変わってしまうのだ。
ブラの替え時の兆候はいろいろあるという。使用頻度によっても異なるので、買ってからいつまでといった"消費期限"は定められないが、見た目がくたびれてしまったら限界という。「カップがしわしわになってへこんだり、布地の張りがなくなったりしたら替え時」と茂木さん。特にサイドのベルト部分は、布が薄くなったり穴があいたりするので要チェックだ。
見落としがちなのがストラップの緩みや、カップの下にあるワイヤの変形。何度ストラップを調節してもずれてきたり落ちてきたりしまうのは、ゴムがゆるんでしまったため。バストの形が崩れてしまうのはいうまでもない。洗濯後に干すとき、ストラップに負担がかからないよう、アンダーバストの前の部分を洗濯ばさみで留めるなどすれば劣化を防ぐことは可能だ。
寿命に気を配り、滞りなく新品に替えても万事解決とはいえない。サイズそのものも問題だ。体を左右にひねるとカップが胸から浮く「うきブラ」、両腕を振ると胸の肉が脇からはみ出る「はみブラ」などがこれに該当する。
「気になったら買った店で計測してほしい。新品は必ず試着して、体にあったものを身につけること」(茂木さん)。体重や加齢でも体のラインは変わるので、定期的なチェックを心がけたい。

蒸れ・肌触り 気になったら
男性用の下着はいつが替え時か。グンゼ・インナーウエア事業本部メンズ&キッズMD部長の南晶宏さんは「快適さが失われた時」と話す。「快適な肌着は汗をかいても蒸れない、肌触りが良い、締め付けないの3条件を満たす」。洗濯を重ねれば綿素材が傷んでくるので、これらの条件が失われていくそうだ。
ただし、快適かどうか、ストレスを感じるかどうかは人それぞれ。同社が昨年、2000人を対象に行った調査では、パンツ、シャツそれぞれ平均して半年に2~3枚新調していた。「これが買い替えのおおむねの目安になるのでは」(南さん)
調査によると、クローゼットやタンスにある肌着の在庫は平均でパンツ8枚、シャツ9枚。1週間分はキープし、不測の事態を見越して1~2枚多めに持つ、こんなイメージが浮かび上がってくる。
下着を替える際、頭を悩ますのが処分の方法だ。そのまま捨てるには抵抗感がある人が多いだろう。ハサミで細かくしてから捨てる人もいる。実は、男性用でも女性用でも、不用になった下着を無料で受け付けるサービスがある。
ワコールは自社製、他社製を問わず、不用になったブラジャーを回収している。08年から実施し、今年は3月まで。全国約800店で受け付ける。回収袋に入ったブラは密封されたまま処理工場に運ばれ、環境に配慮した産業用固形燃料に生まれ変わる。人目に触れる心配はない。ユニクロは全店で一年中、同社製のヒートテックや綿のタンクトップなどを受け付けている。預かった下着は工業用繊維などに再生する。ブラとトランクスは対象外だ。
「色あせた下着は着用する人のモチベーションを減退させる」。スタイリストの橋本ワコさんは、色が人の心の動きに影響を与えるという視覚色彩心理学の観点から、早めに替えるよう勧める。
橋本さんによると、「青は気持ちを落ち着かせ、赤はアドレナリンを分泌させて力がみなぎる、といった効果があるという。「こうした色がきれいに出ない下着を身につけると、それぞれの効果が出ない」(橋本さん)。下着の色や状態はその日の気分を左右する。たかが下着と高をくくらない方が良さそうだ。
(保田井建)
[NIKKEIプラス1 2017年1月28日付]
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