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強さともろさ同居 稀勢の里の相撲道(中)
30歳 心も技も成長途上

2017/1/25 2:30
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昨年九州場所で3横綱を撃破した翌日、平幕の栃ノ心にころりと負けた。八角理事長(元横綱北勝海)は「きのうまでも稀勢の里。きょうも稀勢の里」と評した。強さともろさの二面性を稀勢の里は秘めている。

心の鍛錬も試行錯誤が続く(17年初場所)

心の鍛錬も試行錯誤が続く(17年初場所)

本物の横綱相手に胸のすく"横綱相撲"をとる。かと思えば平幕に力負けもする。現役時代に理論派でならした優勝3回の玉ノ井親方(元大関栃東)も「いい相撲と悪い相撲が両極端」と稀勢の里だけは読み解けない。

賽(さい)の目がどう出るかは立ち合うまでわからない。客席は手に汗握る。「だからファンが多いんじゃないか」と八角理事長。

17歳で新十両、18歳で新入幕、19歳で新三役。貴乃花ら歴代の大横綱と肩を並べる年少記録だ。遮るものもなかった怪童の出世街道は、しかし20代で"全面通行止め"となり、30歳6カ月でやっと最後の信号が青色に変わった。糖尿病と闘いながら29歳11カ月で初優勝し、30歳9カ月で横綱昇進を果たした先代師匠、隆の里に負けず劣らずの遅咲きだ。

心技体のうち初めから抜きんでていたのは「体」だった。初土俵以来、右足親指を痛めた2014年初場所千秋楽の1日しか休場がない。足踏みを強いられた10年は、早すぎる出世をもたらした頑丈な「体」に、遅れていた「心」と「技」が近づくために必要な歳月だったのかもしれない。

強さと裏腹のもろさはいまも時々顔を出す。白鵬をも横向きにする左の強烈なおっつけが代名詞。その左を封じられるとき、どうするか。元兄弟子の西岩親方(元関脇若の里)は「左は横綱、右は十両。これからの課題」。右の使い方次第で「技」はまだまだ伸びるということだろう。

「心」はどうか。旧年のひところ、出番前の花道や仕切りでふと笑みをたたえることがあった。大一番で硬くなる癖を克服するための試行錯誤だったのだろう。その笑みが、初場所では賜杯を抱くまで消えていた。「あれはやめた方がいいと思っていた。歴代の横綱にそんな力士はいないから。今のような自然体が一番」と西岩親方。心の鍛錬も手探りだ。

「まだまだ物足りないところがある」と本人も自覚する。横綱審議委員会に推挙されても笑顔はそこそこに引っ込めた。「自分はもっと強くなれると思う。気持ちも体も元気だし、これからですよ」。まだ通過点。土俵の上の稀勢の里には、やはり仏頂面が似合っている。

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