春秋

2017/1/24 2:05
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先週、世界でもかなり重量級といえる首脳たちの演説に、相次いで触れる機会があった。まず中国の習近平国家主席。スイスのダボスで開いた国際会議で保護主義への反対を訴えた。次いで、わが安倍晋三首相。施政方針演説で日米同盟を「不変の原則」と位置づけた。

▼そして米国のドナルド・トランプ新大統領。就任式の演説のなかで「米国第一主義」を宣言した。残念ながら、というか、予想通りというべきか、どれも大して胸に響くことはなく、知的な刺激やユーモアにも乏しかった印象だ。それにつけてもトランプさんの前任者は演説が上手だったなあ、と、いささか寂しくなった。

▼そんな後ろ向きの気分が吹き払われたように感じたのは、科学誌「日経サイエンス」の3月号に目を通したときだ。オーストリアの科学者J・A・ノブリヒ氏が寄せた一文によると、胚性幹細胞(ES細胞)やiPS細胞といった、いわゆる「万能細胞」から、ヒトの脳の一部を実験室で培養することに成功した、という。

▼統合失調症やアルツハイマー病などの脳の病気を研究し、治療法を生み出すのに役立つ、との期待があるそうだ。今はやりの人工知能(AI)どころか文字通り「人工脳」の時代が来るのか、と、SFめいた夢にも誘われる。政治の世界をみていると気がめいることも少なくないけれど、人類はしっかり前にすすんでいる。

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