2019年6月16日(日)

「サイバー」に強い自由社会を

2017/1/23 2:30
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米国の新しい大統領にドナルド・トランプ氏が就いたが、その当選を決めた昨年の選挙戦にロシア政府がサイバー攻撃などで干渉した疑いがあることには、これからも留意していく必要がある。

米国の国家情報長官室が6日に公表した報告によると、ロシアは大きく分けてふたつの方法で干渉した。ひとつには、サイバー攻撃で政治家らの電子メールなどを手に入れ、民主党のクリントン候補に不利とみられる情報をウィキリークスなどを通じて公開した。

一方でロシア政府の影響下にあるメディアでクリントン候補に不利な偽ニュースを流し、交流サイト(SNS)などで拡散した。

こうした干渉が選挙結果にどう響いたか報告は触れていない。ただ、ロシアのプーチン大統領には、米国の政治システムへの信頼を揺るがし自由民主主義に打撃を与える狙いがあった、としている。耳を傾けたい分析である。

民主的な選挙に外から干渉しようという試みは珍しくない。今回の米大統領選では、かつてなく高度な手法が目を引く。背景にあるのはいうまでもなくネットの普及とSNSの台頭だ。サイバー時代の自由民主主義の危うさを、我々は直視しなくてはならない。

今年はフランスやドイツなどで重要な選挙が相次ぐ。欧州への干渉の広がりが懸念される。自由民主主義の国々は協力して対策を強化すべきだ。とりわけ日本のサイバー対策は遅れている、との見方が少なくない。米欧などとの連携を急ぎたい。

もっとも、サイバー攻撃の完封は不可能に近い。また、偽ニュースを排除しようとして情報の自由な流通をさまたげれば、かえって民主主義の基盤を損なう。

大切なのは、情報の真偽と、その裏にひそむ政治的な思惑を見極める力を、有権者が身につけることだ。サイバー攻撃などの干渉をおそれるあまり、政府や政党をふくめ自由社会がIT(情報技術)をいかした革新を怠れば、むしろ「敵」の思うつぼだろう。

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