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強まるリアル店舗への逆風 ITが価値観まで変革

(藤元健太郎)

何かSF的な未来のような響きさえあった2020年まであと3年。東京五輪に限らず、もう今から準備すべき現実として近づいている。

米アマゾンのコンビニは商品を店外に持ち出すだけで会計が済む(アマゾンが公開した動画より)

20年にはよく見ることになりそうな新しい風景の萌芽(ほうが)が、次々と現実に現れている。米ウーバーテクノロジーズの自動運転車はいくつかの街中を走り始めた。米アマゾン・ドット・コムのドローン宅配も実験が進む。VR(仮想現実)はゲームなどでビジネスとして立ち上がった。

インターネットが登場してからの二十数年の変化も大きかったが、これからはあらゆる分野でテクノロジーが社会のあり方を変えそうだ。17年に起こりそうな変化のキーワードを考えてみた。

(1)リアル店舗の撤退

いきなり厳しい話だが、17年はリアル店舗の戦略的撤退が相次ぐだろう。中国や米国ではリアルとネットを一体運用する「オムニチャネル」化できていない小売りは、ネット通販に完全に顧客を奪われ始めている。

米国では多くのブランドが店舗網を縮小。小売り大手の米シアーズ・ホールディングスが150店舗を閉鎖するというニュースは、新年早々大きなインパクトを与えている。今年はこのような発表が相次ぐことになるだろう。

日本でも消費者の買い物スタイルの変化は進み、さらに少子高齢化のインパクトが重なる。地方都市で店舗の選択と集中が加速するのは間違いなく、テクノロジーへの投資も求められるなかで経営者は撤退や事業売却、合併など重要な決断を迫られる。

(2)セルフ化&無人化

人手不足が深刻な日本では、あらゆるサービスの見直しが待ったなしだ。24時間営業をやめる店が増え、セルフサービスも本格化していく年になりそうだ。小売店や外食店で無人レジや消費者自身が操作する注文端末、デジタルサイネージ(電子看板)が広がっていく。

ふじもと・けんたろう 電気通信大情報理工卒。野村総合研究所を経て99年にフロントライン・ドット・ジェーピーを設立し社長。02年から現職

その最先端事例が、アマゾンが始めるコンビニエンスストア「アマゾン・ゴー」だ。入店時にスマートフォンをかざして本人確認し、購入したいものを持ち出せば、センサーやカメラでどんな商品を購入したか認識。会計も自動で処理される。まさに究極の無人店舗になる。

ネット通販でさらなる増加が予想される宅配については、運び手不足で現場がパンクする危機も顕在化してきている。再配達を減らすために、店舗での受け取りなど消費者も意識改革が必要だ。顧客同士が買い物代行するなど、人手不足を補うシェアリングサービスなどが次々と登場するかもしれない。

(3)ボーダーレス

トランプ氏が米大統領になり、英国が欧州連合(EU)を離脱する動きは、「国境」を取り戻したい人々の感情が生んだ現象だった。しかし現実には国境の垣根を越えた活動はますます広がるばかりだ。

仮想通貨のビットコインは低い手数料で国境を越えられ、利用を広げている。エストニアでは証券会社すらいらないグローバルな証券取引所すらブロックチェーンで実現しようという動きがでている。日本もインバウンドビジネスが特別なことではなくなり、通常のビジネスと分けて考えることはなくなるだろう。

テクノロジーの進化に伴い、目の前の生活者の買い物行動やライフスタイル、価値観そのものが本格的に変わる年になるのではないだろうか。

(D4DR社長)

[日経MJ2017年1月20日付]

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