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遺産からの寄付の環境整備を

遺産からの寄付に対する関心が高まりつつある。社会貢献意識の向上や、人生の終わり方を考える「終活」の広がり、子どもがいない人の増加、といったことが背景にあるようだ。

一生をかけて成した財産について、その一部でも「世の中に役立てたい」との気持ちは大切にしたい。厳しい財政から行政による社会福祉は十分でなく、この面でも寄付への期待は大きい。

ただ現状では、遺産からの寄付についての信頼できる情報は少ない。税制面の課題などもある。安心して寄付を実現できる環境の整備を急ぎたい。

遺産からの寄付は「遺贈寄付(レガシーギフト)」と呼ばれる。その普及に向け、NPOや弁護士、税理士などが集まって全国レガシーギフト協会(堀田力・代表理事)をこのほど設立した。

同協会はさっそく、「いぞう寄付の窓口」というインターネット上のサイトを立ち上げ、情報発信を始めた。全国十数カ所の相談窓口も紹介している。

遺産から寄付するには、生前に本人の意思を明確にしておく必要がある。それには遺書が有効だが、一般的に普及しているとは言いがたい。信頼できる寄付先を見つけるのも簡単ではない。相談を気軽にできる窓口は重要で、さらに増やしてほしい。

公益法人などに対する遺産からの寄付には相続税はかからない。ただ不動産や有価証券などを現物で寄付すると、相続人がそのときの時価で譲渡したとみなされて税金をかけられる。こういった税制上の課題に対応し、制度を見直す必要があるのではないか。

信託制度や銀行の信託商品についても、遺産から寄付をしやすくするうえで改善の余地があるとの指摘がある。寄付の意思が尊重できる仕組みを考えてほしい。

そもそも欧米に比べ日本では寄付の文化が定着していない。寄付しやすい環境の整備とともに、寄付を受ける側のNPOなどの信頼性の向上も求められる。

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