LNG燃料船の基盤整備を
液化天然ガス(LNG)を燃料に使う船舶の普及を後押しする動きが出てきた。国土交通省の検討会は燃料供給拠点を横浜港に整備するための方策をまとめた。供給用の専用船を建造し、2020年をめどに運航を始める。
欧州や北米で導入が始まっているLNG燃料船は、船舶向けの排出ガス規制の強化を背景に世界規模で増加が見込まれる。船会社は寄港地を決める際、LNGの供給を受けられるかどうかを見極める。港湾の国際競争力を高めるために、供給インフラの整備を急がねばならない。
国際海事機関(IMO)は20年から、日本を含む一般の海域での硫黄酸化物(SOx)の排出規制を強化することを決めた。
船舶燃料は通常、重油を使う。排ガス規制を先行導入した欧州では、海運会社やクルーズ船の運航会社が対応策として、石油に比べてSOxがほとんど出ないLNGに燃料を切り替え始めている。
世界全体では将来、船舶燃料の最大3割が重油からLNGに切り替わるとの予測もある。導入の流れはアジアにも広がるだろう。
シンガポールや中国、韓国もLNG燃料船の受け入れ体制の整備に動き出している。日本も後れを取るわけにはいかない。
国土交通省や海運、ガス会社などが参加した検討会は、東京湾内にあるLNG貯蔵基地から横浜港に専用船でLNGを運び、この船からLNG船に直接、供給する方法をとることを決めた。インフラ整備に必要な費用も試算した。
専用船を建造・保有し、燃料を供給する事業は企業が中心になるが、政府や横浜市など自治体との連携が大切だ。LNG燃料船の入港料を割り引いたり、海運会社にLNGへの船舶燃料の転換を促したりする支援策が欠かせない。
供給設備が整っても、LNG自体の価格が周辺国より割高では船会社が利用しにくくなる。競争力のある価格で供給するため、LNGの輸入原価を下げる調達改革を進めることも忘れてはならない。
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