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CO2削減にも効果 運転手不足が迫る共同輸送
日経エコロジー編集部 相馬隆宏

2017/1/16 6:30
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 納期遅延や誤配送、運賃上昇――。物流業界ではトラックの運転手不足から、これらのリスクが増えている。荷主企業は戦略の転換を迫られているが、輸送時の温暖化対策にも影響しそうだ。

三井化学は他社との共同輸送で、小口注文に対応できる輸送力を確保する
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三井化学は他社との共同輸送で、小口注文に対応できる輸送力を確保する

 トラックを含む自動車の運転手の有効求人倍率は昨年11月まで17カ月連続で2倍を超えており、慢性的な不足感が続く。物流業者は、荷物の積み下ろし作業の負担が少なく、待機時間も少ない仕事を優先する傾向にあるという。そこで荷主企業はトラックを確保するため、二酸化炭素(CO2)削減にも寄与する効率的な輸送方法への切り替えを急いでいる。

 三井化学は昨年10月から、出光興産東レなど5社と共同輸送を展開している。サンネット物流(千葉県市原市)に委託し、千葉県の京葉工業地域にある各社の工場から発送する荷物をまとめ、秋田県や岩手県など東北地方の顧客企業まで運んでもらうものだ。

 三井化学では、かねてプラスチック材料などの化学製品を顧客企業の要望に応じて少量ずつ輸送していた。こうした小口輸送は宅配便などと一緒に運ばれるのが一般的だ。ただ最近はネット通販の拡大で宅配便の量が急増し、品質管理が厳しく扱いづらい化学製品は後回しにされる事態が起きているという。「ときには納期遅延も発生していた」(三井化学物流部企画管理グループリーダーの柳井展明氏)。

 共同輸送は、サンネット物流がミルクラン(巡回集荷)方式で各社の荷物を集荷し、千葉県内の倉庫で仕分けをして東北の倉庫へ輸送。そこから顧客企業へ配送する。各社が配送先近くの倉庫に在庫を持つようにして長距離を計画的に輸送する。これによって安定輸送を確保しながら、小口の注文に対応する。

 荷物の積載率は90%に達するという。宅配便と一緒に運んでいた従来の積載率は80%程度とみられる。10%改善したぶん、CO2排出量も削減されるというわけだ。

 アサヒビールも今年から競合のキリンビールとの共同輸送に取り組む。従来、関西の工場から北陸の顧客企業までの荷物はそれぞれが個別にトラックで輸送していたのを集約し、鉄道で運ぶ方法に切り替える。今月から石川県内で配送を開始し、10月には富山県内にも広げる予定だ。

 輸送時のCO2排出量がトラックより少ない鉄道で運ぶことによって、両社合わせて従来比56%のCO2削減効果を得られる見通しだ。

 アサヒビール経営企画本部物流システム部の千田悠・担当副部長は「将来、トラックの輸送コストが上がることが予想されるため、先手を打つ。荷物を運び切れなくなる時代がすぐそこまで来ている」と危機感をあらわにする。

 物流業界に詳しい船井総合研究所物流・交通グループの河内谷庸高グループマネージャーは「今後は運転手が減り、トラックも減っていく。物流業者の輸送能力が限られるなか、選ばれる荷主企業になる工夫が大切だ」と警鐘を鳴らす。

 無駄が多い運び方をしている荷主企業は物流業者に敬遠されかねない。

 物を運べずに商機を逃がしたうえ、環境負荷増大でブランドイメージも下がることになる。輸送効率のさらなる向上へ、ライバルとも手を組むなど他社との連携も深めれば、効率化のアイデアは広がるだろう。

[日経産業新聞2017年1月12日付]


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