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日韓の合意をほごにするな

韓国の市民団体が昨年末、こんどは釜山の日本総領事館前に慰安婦を象徴する少女像を設置した。旧日本軍の従軍慰安婦問題をめぐる日韓の政府間合意を揺さぶる新たな火種にもなりかねず、憂慮せざるを得ない。

ソウルの日本大使館前には2011年末、市民団体によって少女像が設置されており、それに続くものだ。今回、釜山の地元自治体はいったん撤去したものの、市民らの抗議が殺到したため一転して設置を認めたという。

日韓は一昨年末、慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」で合意した。元慰安婦を支援する財団を韓国政府が設立し、日本政府が10億円を一括拠出するというのが柱だった。日本側はすでに履行義務を果たし、元慰安婦への現金支給も始まっている。

韓国政府はこの合意で、ソウルの日本大使館前の少女像撤去についても「解決に向けた努力」を約束した。日本側はかねて大使館の保護を定めたウィーン条約に違反するとして善処を求めていた。その合意から1年以上たっても解決のメドがたっていないのに、釜山の総領事館前にも像が設置されるという由々しき事態となった。

このままでは、慰安婦合意後にようやく芽生えた日韓の関係改善の機運が再びしぼみかねない。

韓国では慰安婦合意を主導した朴槿恵(パク・クネ)大統領が自身の醜聞によって国会で弾劾訴追され、職務停止の状態が続く。

政局の混乱が長期化するなか、懸念されるのは野党勢力を中心に日韓合意をほごにしようという動きが出ていることだ。市民団体が総領事館前に少女像を設置したのも、慰安婦合意の破棄を政界に促すねらいがあるとされる。

だが、朴氏の疑惑と政権の政策は別問題だ。朴氏の早期退陣は不可避だろうが、仮に政権交代後に慰安婦合意を含めた国際的な約束事がほごにされれば、韓国は国際社会での信認を失う。韓国政界にはこうした負の影響を十分に考慮に入れた慎重な言動を求めたい。

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