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「地球に長く住むエイリアン」の視点で新事業
西城洋志(ヤマハ・モーター・ベンチャーズ・アンド・ラボラトリー・シリコンバレーCEO)

2017/1/6 6:30
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 私は自己紹介する際に「地球に長く住んでいるエイリアンです」という表現をよく使っている。ヤマハ発動機という成熟企業において非連続領域を含めた新しい価値の創出や事業開発をするには、「ウチ(社内)の文化や理念を理解しながらも、ソト(社外)からの視点を持つ」事が重要だと考えているからだ。

ヤマハ発動機で表面実装技術やロボット事業のソフトウエア開発などに従事。2015年7月にヤマハ・モーター・ベンチャーズ・アンド・ラボラトリー・シリコンバレーを設立、ベンチャー投資を含めた新事業開発に取り組む。

ヤマハ発動機で表面実装技術やロボット事業のソフトウエア開発などに従事。2015年7月にヤマハ・モーター・ベンチャーズ・アンド・ラボラトリー・シリコンバレーを設立、ベンチャー投資を含めた新事業開発に取り組む。

 私はヤマハ発動機に入社してから約18年間、IM事業部に所属し、産業用ロボット事業におけるソフトウエアエンジニアやソリューションエンジニアとして従事した。当社の主力事業はオートバイやマリンプロダクトを中心としたエンジンをコア技術としたものであり、BtoC(対消費者)の製品販売というビジネスモデルである。私が所属していたIM事業部が行っていたのは、メカトロニクス技術や制御技術、画像処理などのソフトウエア技術をコア技術にしたBtoB(対企業)のビジネスである。

 IM事業部の顧客は電子機器・電機・輸送機器・制御機器などを製造するセットメーカーや製造受託サービス事業者である。プロジェクトごとに顧客の製造拠点に足しげく通い、要求仕様の議論や交渉、納品立ち上げをしてきた。私はIM事業部での仕事を通じて本当に多くの国の多種多様な業種の個性豊かな人たちと接点を持つことができた。自然と「価値の多様性の理解」と「様々な見方によるソリューション創出」をする癖が付いていた。

 「欧州市場における未来のモビリティを考える」という全社タスクフォース(特定の任務のために編成された組織)に参加したときのことだ。当社のメーン事業に近い部署から参加したメンバーの提案は「車両自体のイノベーション(車両が動いている状態をより良くする)」だった。それに対して、私の提案は「移動手段・交通システムとしてのイノベーション(車両が動いていない状態を課題視)」であった。時間ベースで考えれば5%程度しか動いていない車両を改善するよりも、ある空間を占有しているにもかかわらず、95%の時間帯は何も価値を生んでいないということに課題認識をしたのだ。

 そうした「変わり者」であった私に、新規事業開発担当の役員が「全社事業領域を対象のシリコンバレーを活用した新事業開発任務」を命じた。2013年のことだ。

 振り返ってみると、当社は何年も前から「新事業開発」を継続して取り組んでいる。そのほとんどはシーズベース(技術先導型)で自前主義という手段を用いて実施してきている。結果として、コアのエンジン技術を活用した四輪バギー事業や汎用エンジン・発電機事業が生まれている。だが、我々の真の目的はモーターサイクル事業とマリンプロダクト事業に続く第3の事業の柱を創り出すことであるはずだった。その視点に立てば今の結果は不十分であるというのが当社の課題認識であり、これまでシーズベースや自前主義でやってきたことに理由があるというのが1つの気づきであった。

 私は顧客のニーズや欲しているものから考えるニーズ・ウォンツベースに立とうと決めた。自前主義ではなく、必要であれば他社と一緒に新しい価値を生み出す共創型にトライしてみようと思った。そこでいくつかの仮説を立てて、14年5月に単身でシリコンバレーに赴任した。活動を進めていくと、あることに気がついた。この続きは次回のこの欄で述べたい。

[日経産業新聞2017年1月5日付]


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