2018年8月17日(金)

春秋

2017/1/4 2:30
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 公認会計士という職業は産業革命が進んだ19世紀半ばの英国で誕生したとされる。企業は巨額の資本を調達するため、財務諸表に第三者のお墨付きを得る必要が出てきた。そこで登場したのが、国王の認める会計帳簿のチェック役だった(渡邉泉「会計の歴史探訪」)。

▼会計士の活動は大西洋を越えて米国にも広がり、鉄道会社の決算に監視の目を光らせた。資本主義の発展に少なからぬ貢献をしてきたといえよう。ところが今、この専門的な職業の存続を危ぶむ声があがっている。人工知能(AI)に不正会計の事例を学習させることで、すばやく虚偽を見抜けるようになってきたからだ。

▼技術革新が人の仕事を奪った例としては産業革命下の英国で起こったラッダイト運動が知られる。機械に職をとられた織物職人たちが、機械を打ち壊した騒動だ。これに対してAIに取って代わられる恐れが指摘される仕事は、ものづくり関係に限らず幅広い。高度な専門職などホワイトカラーも安穏としてはいられない。

▼帳簿の点検がAIに置き換わり始めたとき、会計士はどうしたらいいか。「決算をもとに経営者との議論を深め、業績改善策の助言に力を入れる」。ある会計士は提供するサービスの付加価値を高めるという。産業構造の変革期は廃れる仕事がある半面、伸びる仕事も出てくる。AI革命の今、そのただ中に入ったようだ。

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