2018年8月21日(火)

東芝は不可解な「巨額損失」の経緯解明を

2016/12/30 2:30
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 会計不祥事で再建中の東芝に、新たな巨額損失の可能性が浮上した。昨年末に子会社の米ウエスチングハウスを通じて買収した、原子力発電所の建設などを手がける米企業で想定外のコストが生じ、数千億円規模の減損損失が発生するおそれがあるという。

 財界トップを輩出した名門企業は重大な岐路を迎えたといえる。東芝の経営陣にまず求められるのは損失額の一日も早い確定と、なぜ巨額の損失が出る見通しになったのか、経緯の解明だ。

 東芝の説明によると、原発をめぐる安全意識の高まりから、米社の手がける原発建設のコストが予想以上に膨らみ、巨額の損失につながったという。

 だが、原発の安全性に厳しい視線が注がれるようになったのは最近の話ではなく、東京電力福島第1原発事故以来だ。昨年末に買収を決める時点で、考慮に入れるのが当然の要素だろう。

 加えて当時の東芝は会計不祥事の渦中にあった。さらなる問題を起こせば、上場廃止を含めて市場や社会から厳しい制裁を科されるのは、必至の情勢だった。

 そんな企業がなぜこれほどの失敗を重ねたのか、理解に苦しむ。買収相手の資産査定でよほど大きな見落としがあったのか、それ以外の深い事情が隠されているのか。納得いく説明が聞きたい。

 いずれにせよ同社は今後、解体的出直しを迫られるだろう。複数の事業を抱える「総合電機」という企業の形をいつまで継続できるか、先行きは見通せない。

 だが、発想を切り替えれば、今回の事態を再出発の機会ととらえることもできるのではないか。

 例えばフラッシュメモリー事業だ。最大手の韓国サムスン電子にも対抗しうる強い事業だが、東芝の一事業部門にとどまるかぎり、十分な資金を調達できず設備投資競争に劣後するかもしれない。

 むしろ独立して外部のリスクマネーを取り入れたほうが展望が開ける、という見方がある。

 原発事業も、国内他社との再編集約を含め様々な選択肢が浮上するだろう。日本では東芝、日立製作所三菱重工業の3つの原発メーカーが並び立つ。「多すぎる」という声は前々からあった。

 企業の再生や事業の再構築を成功に導くには、強力なリーダーが不可欠だ。社内外を問わず有為の人材を登用し、難局に立ち向かわなくてはならない。

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