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再生医療の産業化を進めよう

日本で再生医療産業が成長する契機になるのではないか。富士フイルムホールディングス武田薬品工業傘下の試薬大手、和光純薬工業の買収を発表した。来年4月の完全子会社化を予定している。

富士フイルムは国内外の複数の再生医療関連企業に対し、相次ぎ買収や出資をしている。リスクを恐れず再生医療にかける姿勢は他社にとっても刺激になるだろう。

政府は山中伸弥・京都大学教授が世界で初めて作製したiPS細胞を軸に、再生医療の実用化に力を入れている。大学研究の強化、新薬の承認手続きの迅速化などが進む。

しかし、大手製薬企業などは安全性の確保など手間とコストがかかる再生医療への本格参入に慎重だった。国の研究費も人材も京大に集中している。政府の期待ほどには産業化は進まないのではないか、との見方も出ていた。

再生医療に使う多数の細胞を効率よく作るには、大量の試薬や培地が必要だ。これらを得意とする和光純薬の製品や技術は、高品質な治療用細胞の供給に役立つ。

富士フイルムは昨年、iPS細胞などの優れた作製技術をもつ米セルラー・ダイナミクス・インターナショナルを買収。今年に入って、英国で再生医療の臨床試験を準備中のオーストラリアのベンチャー企業への出資も決めた。

さらに、中国でヘルスケア事業を展開し傘下に病院も持つ華潤集団との提携で合意した。将来、再生医療薬の臨床試験を中国で展開するのに役立つとみられる。

川上の材料となる細胞づくりから治療薬開発、川下の臨床試験関連までを、国境を越えて広く手掛ける再生医療の総合企業は世界でも類をみない。新しいビジネスモデルとして注目したい。

iPS細胞の仕組みは未知の部分も多く、一層の安全性研究が不可欠なのは言うまでもない。企業と大学や研究機関が連携してこうした課題を解決し、少しでも早く再生医療の薬を製品化して新市場を開拓してほしい。

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