2019年2月19日(火)

無理がある大学の立地規制

2016/12/25 2:30
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地方創生は必要とはいっても、そのためなら何でもやっていいわけではないだろう。政府が改訂した総合戦略についてだ。東京一極集中を是正するために新たな対策を加えている。

政府は2014年末にまとめた総合戦略で、東京に埼玉、千葉、神奈川を加えた東京圏への転入超過数を20年にゼロにする目標を掲げた。

しかし、15年の東京圏への転入超過数は約12万人になり、前年よりもむしろ1万人増えた。これまでの政策はまだ効果が表れていないといえる。

東京圏への人口移動の大半は若年層だ。特に大学入学時と就職時に増える。そこで打ち出したのが地方大学などへの支援策だ。

まず、地方大学に通い、地元の企業に就職する学生を対象とする奨学金の減免制度を普及させる。地方大学を核とする産学官の連携も後押しする。

地方企業でのインターンシップ事業にも積極的に取り組む。東京圏で暮らす地方出身の学生に、魅力的な地方企業を知ってもらって就職につなげる。こうした政策は評価できる。

気になるのは「東京における大学の新増設の抑制」を来年夏までの検討課題に盛り込んだ点だ。大学や学部の東京23区内での新増設を抑えるように求める全国知事会の要望を反映した。

地方への学部設置を後押しするなら構わないが、東京での立地を規制するのは行き過ぎではないか。少子化で競争がさらに激しくなっている大学の経営の自由度を損ないかねないからだ。

政府はかつて工業等制限法に基づき、東京23区などで一定面積以上の大学や工場の新増設を制限してきた。区部の過密解消にはある程度は効果があったものの、大学の移転先は東京の多摩地域や埼玉など東京の周辺が多かった。

同じことをしても、東京はともかく、東京圏に転入する動きは変わらないだろう。大学の立地規制はやはり無理がある。

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