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「おつり」をスマホで運用 身近なフィンテック

(三浦茜)

コーヒー代が270円、そのおつりの30円で資産運用する。そんなことを可能にする「エイコーンズ」というアプリがある。筆者は今年6月から利用をスタートした。

実際には連携しているクレジットカードやデビットカードの利用額の端数なので、小銭を見ることはないが、日々何気ない購買活動からお金がたまっていくのは面白い。そして何より、おつり貯金や五百円玉貯金をするような気軽さで資産運用を始められた。

アプリ「エイコーンズ」はクレジットカードなどと連動。買い物のおつりを積み立て運用する

実際には円ではなくドルなので、1ドル以下の端数がある場合はその金額、そして端数がない場合には1ドルを運用に回すという設定になっている。米国では少額でもクレジットカード決済の頻度が高く、おのずと端数貯金の機会も増える。

運用方法は投資の目的や、短期運用か長期かなど、個人の特性に合わせてエイコーンズが自動的に振り分けてくれる。運用パターンは全部で6種類。社債、大企業株、小規模企業株、新興成長市場株、不動産株、国債にわかれている。筆者は「5年から10年の長期保有」を選んだところ、社債と国債が多め、新興株は少なめの構成となった。

毎月おつりで積み上がる額は平均30ドル程度。年間360ドルほどにしかならない。筆者はこのおつりに加え、毎月一定額をエイコーンズに自動振り込み設定している。

結果として運用資金に占めるおつりの割合は低いが、筆者が利用し始めたのは、このおつりの仕組みがあったからだ。身近な「おつり貯金」をきっかけに、資産運用に興味を持ってもらおうという狙いと思われる。

サービスの利用料金は毎月1ドル、管理資産が5000ドル以上の場合は加えて年0.25%がかかる。一般的な投資アドバイザーサービスと比べると安い。運用成績も随時アプリで確認できるが、成果は日によってまちまちだ。総額に対して数パーセントの増減がある。

私はエイコーンズ以外に、株取引に特化したアプリも利用している。「ロビンフッド」という手数料無料の株取引アプリだ。こちらも無料という言葉にひかれて何気なくはじめたものである。

みうら・あかね 上智大学卒。サンフランシスコ在住。米国でアーリーステージのスタートアップ投資を行うスクラム・ベンチャーズ マーケティングVP。

アプリを開くと最新の株価情報が確認できる。購入したい銘柄を選び、購入株数を入力、そしてスワイプするだけで売買が完了する。驚くほど簡単。売買の手数料や口座管理は無料で、今後は時間外取引や信用取引で課金していくようだ。

一度投資を始めると、気になってアプリを開くようになる。なにせいつも手元で確認できるのだから。するとアプリが取引実績から気に入りそうな銘柄を予想して表示してくる。そこから他の銘柄にも追加投資してしまった。関連ニュースも表示され、これまた投資意欲をそそるのだ。

筆者のスマホのファイナンスフォルダには、他に「コインベース」というビットコインウォレット、米国の銀行アプリ、そして日本の資産状況が確認できる「マネーフォワード」が入っている。

昔であれば銀行に行き、預金残高を確認する必要があった。証券会社に電話したり、ウェブサイトにアクセスしなければならなかった。だが今ならアプリをタップして、指紋認証すればすべてがわかる。これらはまさにフィンテックと呼ばれる分野である。

筆者自身は正直、資産運用や株取引に詳しいタイプではなかった。こうして興味を持ったのはアプリのあまりの気軽さと使い勝手のよさの結果だ。フィンテックという言葉は仰々しく語られることが多いが、金融サービスに関連する技術革新は誰にとっても身近な存在となるだろう。

(スクラムベンチャーズ マーケティングVP)

[日経MJ2016年12月16日付]

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