「君の名は。」の位置ゲーム 岐阜へ巡礼誘う

2016/12/10 6:30
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位置情報ゲーム「ステーションメモリーズ!(駅メモ!)」と大ヒット映画「君の名は。」を組み合わせたキャンペーンが好調だ。東京と山深い岐阜・飛騨を結ぶ壮大な取り組みで、ゲーム会社のモバイルファクトリーが仕掛けた。

「駅メモ!」は立ち寄った鉄道駅にチェックインして遊ぶ(東京都千代田区)

「駅メモ!」は立ち寄った鉄道駅にチェックインして遊ぶ(東京都千代田区)

駅メモ!はスマートフォン(スマホ)の全地球測位システム(GPS)で取得した位置情報を活用し、実在する鉄道駅を訪ねて回るゲーム。駅の周辺でアプリを起動し、「チェックイン」ボタンを押すと、最寄りの駅を収集できる。出張先や旅先で新しい駅を集める楽しみがある。

「君の名は。」とのキャンペーンの期間は11月1日~12月31日。映画に登場する東京都、愛知県、岐阜県の11駅を対象にした。期間中に現地を訪れてチェックインすると、スマホのホーム画面に設定できる特製の壁紙がもらえる。キャッチコピーは「あの景色を、見に行こう。」だ。

キャンペーンは11月末で折り返し地点を迎えた。11駅すべてを巡ったユーザーは数百人で、東京都の7駅すべてを巡ったユーザーは数千人に達するという。

都心からのアクセスが悪い岐阜県の3駅でも「キャンペーン直後からチェックイン数が2~3倍に急増した」(宮井秀卓取締役)。

宮井氏が「君の名は。」を鑑賞したのは9月下旬だ。実在する街並みや駅が美しく描かれた「君の名は。」と、実世界で鉄道駅を巡って遊ぶ「駅メモ!」の相性の良さを直感。同作の製作委員会に出資する広告代理店、ジェイアール東日本企画に提携案を持ち込み、わずか1カ月でキャンペーン開始にこぎつけた。

ネットサービス(オンライン)から観光地や実店舗(オフライン)にユーザーを送る仕組みを「O2Oマーケティング」と呼ぶ。

宮城県が11月12日に「ポケモンGO」を活用して開いた復興支援イベントには1万人以上が参加した。O2Oは送客先での飲食や宿泊を促し、地域経済の活性化につなげられる。「ゲームは若者のユーザーが多く、息の長い地域振興に役立つ」(宮井取締役)

駅メモ!にはこれまでもO2Oで実績を積んできた。例えば、昨年12月に始めた岩手県との協業では、3カ月余りで約4700人が参加した。2015年にはO2Oで10の自治体や鉄道会社と提携。同社では合計で約6億6000万円の経済効果があったと試算する。

駅メモ!側にも「君の名は。」のファンを取り込む以上の利点がある。

「駅メモ!は体験型のエンターテインメント」とモバイルファクトリーの宮嶌裕二社長。1人でゲームに興じた記憶は残りにくいが、ゲームをきっかけに旅先で食事をしたり、友達と遊んだりした経験は一生の思い出になる。宮井取締役は「思い出が積み重なるほど、ゲームをやめにくくなって長く遊んでもらえる」と期待を寄せる。

ポケモンGOの大ヒットで、ネット業界では位置情報がちょっとしたブームだ。位置情報を巧みに使ったゲームやサービスが今後も増える見込み。インバウンドや地域創生などのキーワードもあり、O2Oの挑戦が活発になりそうだ。(新田祐司)

[日経MJ2016年12月7日付]

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