2018年7月23日(月)

欧州安定へ伊は混乱回避を

2016/12/6 2:30
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 イタリアのレンツィ首相が、国民投票で憲法改正案が否決された責任をとって辞意を表明した。影響は反欧州連合(EU)や反移民を掲げる勢力の台頭に揺れる欧州各国の政治や、金融市場が懸念する伊銀行の不良債権問題の行方にも及びかねない。

 イタリアは首相辞任後の体制を早期に固め、金融システムの安定に努めるとともに成長を促す政策を着実に実行することが肝要だ。

 投票ではEU懐疑派の新興政党「五つ星運動」が、上院の権限を縮小する憲法改正案に反対するとともに、首相を強く批判して注目された。現状に不満を持つ有権者が、こうした政党に共感して票を投じた面もあるようだ。

 首相辞任後の体制づくりが今後進むが、早期安定への道のりはみえにくい。現政権が取り組んできた経済の改革路線も停滞しかねない。政治の混乱が深まり、来年早期にも総選挙となれば、新興政党が勢いに乗って議席を大幅に伸ばす可能性が指摘される。

 五つ星運動はユーロからの脱退を問う国民投票を主張している。主要政党として政権に加われば台風の目になるのは必至だ。

 さらに要注意なのは、銀行システムへの影響だ。イタリアでは経済低迷の長期化で銀行の不良債権が問題化しており、増資によるたて直しを検討する銀行もある。

 政局混迷のあおりで市場環境が悪化すれば、増資が困難になる事態も生じかねない。債務問題に火がつくとギリシャを上回る危機に発展する恐れもある。

 イタリアの政治と経済の混乱回避は、欧州全体の安定のためにも欠かせない条件だ。

 同じ日に実施されたオーストリアの大統領選挙では、リベラル系の候補が極右の候補を破って当選した。極右勢力の国政での伸長が同国ではひとまず回避された。

 欧州では来年、フランスの大統領選やドイツの総選挙が予定される。イタリアでも示されたポピュリズム的な主張への支持がどこまで広がるか、予断を許さない。

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