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強烈ショット、全豪で覚醒 テニス・大坂なおみ(上)

2016年1月のメルボルンで、大坂なおみ(19)がついに覚醒した。時速200キロ近いサーブに、腕からラケットまでがムチのようにしなって繰り出すストロークの破壊力。「(コートに)入ればすごい」と言われ続けたショットに精度が伴い、四大大会初出場だった今年の全豪テニスで3回戦まで進んだ。

16歳で11年全米女王のサマンサ・ストーサー(オーストラリア)を破り、ポツポツと才能の片りんは見せたが続かなかった。「今回はラッキー(な勝利)じゃない。四大大会(という大舞台)が引き金になったかな? 強くなった実感がある」と大坂。今季出場した四大大会すべて3回戦に進出、女子ツアーでも格の高いプレミア大会である東レ・パンパシフィック・オープン準優勝、16年度の新人賞に輝いた。錦織圭に続き、同賞を受賞した2人目の日本人だ。

父はハイチ出身の米国人、母は北海道出身の日本人。日本語はまだ不自由だが、最初から日本選手を選択した。「昔から私はシャイで、学級委員になるとかありえないタイプ。日本人の方が親しみを感じる」

飛躍のカギは18歳での試合制限解禁

テニスどころ米フロリダ州にいながら、さほど騒がれなかったのは、プレーを生で見た人が少なかったからだろう。

女子は18歳になるまで年間最大16大会しかプロの試合に出られない。その分、有望選手の品評場でもあるジュニアのサーキットを回る。しかし、父でコーチでもあったレオナルドは、ウィリアムズ姉妹(米国)の父を手本に「レベルが低いところで勝って満足してほしくないし、若いうちからテニスだけに忙殺させたくない」と、一切、出さなかったからだ。

近年、女子ツアーも層が厚く、17歳でウィンブルドンを制したシャラポワ(ロシア)のように、ジュニア年代の選手が一気にトップに駆け上がるのは難しい。ただでさえ試合の絶対数が少なかった大坂は「単発ではかみ合うんだけど、なかなか連続でかみあわなかった」と日本代表女子担当コーチの吉川真司。

だから昨年10月、18歳になったことを、「飛躍した要因。たくさん試合ができるから、プレーが安定してきた」と大坂は話す。144位から始まった今季の世界ランキングは40位までアップ。年初はトップ100が目標と話したが、「あの頃から、いいプレーが続けられればトップ50もいけると思っていた。もっと上へ行くつもりだけど」。

錦織と同じ日清食品への所属も決定。「将来のトップ10」と、世界からの期待も急激に高まるが、浮かれもしなければ、動じもしない。「夏ごろはプレッシャーに感じたけれど、皆に注目されるのが普通になってきたから」。慣れないのは憧れのセリーナ・ウィリアムズとすれ違う時だけ。「ハーイって何度もあいさつしているのに、ドキドキしちゃって」。まだティーンエージャーなのだ。

(敬称略)

〔日本経済新聞夕刊12月5日掲載〕

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