2019年4月22日(月)

同一労働同一賃金を生産性高めるテコに

2016/11/28 2:30
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働き方改革の目玉の一つとして、仕事が同じなら賃金も同じにするという「同一労働同一賃金」の議論が厚生労働省の有識者会合などで進んでいる。企業は制度導入に向けた対応を急ぐべきだ。

同一労働同一賃金は政府が非正規社員の処遇向上策として来年の制度化をめざしている。仕事が同じなのに正規、非正規という雇用形態の違いで賃金に差をつけることを禁じるというものだ。

ただし、制度の運用は柔軟にする方向にある。欧州連合(EU)には同一労働同一賃金の原則があるが、フランスでは職務が同じでも、その仕事の経験が長く成果を上げやすい社員には高めの賃金を払うことが認められている。ドイツでも取得した資格などによる賃金の差が許容されている。

こうした例は日本にも参考になる。どのような待遇の差は合理的といえ、どんな場合は不合理で是正すべきか、政府は年内にまとめる指針で例示する。

企業に求められるのはまず、待遇に差をつける場合は理由の説明責任が伴うことの自覚だ。

たとえば同じ仕事に就いている正社員とパートで賃金に差を設けていれば、パート社員に対し、権限・責任や身につけた技能の違いといった理由を明確に説明する必要がある。新たに雇用契約を結ぶ際も、待遇の差の理由をきちんと説明することが重要になる。

正社員の処遇制度も見直す機会になる。同一労働同一賃金は、賃金は職務の対価という考え方を前提にしている。日本企業は正社員の処遇制度に年功色をなお残しているが、これを改め、仕事の中身や難易度で賃金を決める職務給を積極的に取り入れるべきだ。

求められるのは同一労働同一賃金の議論を機に、社員の生産性向上を促す処遇制度改革を進めることである。パートなど非正規社員についても技能の向上に伴って昇給する仕組みを充実させたい。

欧州では賃金以外の面についても広く、合理的な理由がなく差をつけることを禁じている。たとえば非正規社員の研修に力を入れる動きが日本で広がれば、企業の生産性向上につながろう。

同一労働同一賃金は、何をもって「同一労働」と認めるかなど課題も多い。だが非正規社員と正社員の賃金格差は大きく、是正を急ぐ必要があるのは確かだ。企業は制度化への対応を、競争力を高める機会として生かすべきだ。

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