2019年4月20日(土)

小手先の配偶者控除見直しで止めるな

2016/11/27 3:30
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人口が減り、人手不足が広がる日本経済を活性化するには、パートで働く人にもっと活躍してもらう必要がある。そのために時代遅れとなっている税制を変えなくてはならない。

2017年度税制改正に向けた政府・与党の検討状況をみると、税制の抜本改革にはほど遠く、小手先の見直しで終わるのではないか、と心配だ。

パートで働く主婦のいる世帯向けの所得税の配偶者控除の見直しである。妻(配偶者)の年収が103万円以下だと、夫(世帯主)の給与所得から38万円を控除して所得税額を減らすことができる。

その結果、年収を103万円以下に抑えようと就業を調整するパートが多く「103万円の壁」といわれる。この壁を崩そうと政府・与党内では、対象を「年収103万円以下」から「年収150万円以下」へと拡大する案が出ているという。

しかし、税とは別に、厚生年金や健康保険といった社会保険に「130万円の壁」がある。パートの年収が130万円を超えると年金や医療の保険料負担が生じ、可処分所得が減ってしまう。

実は今年10月から大企業で働くパートなどが、社会保険料を徴収される基準は年収130万円から106万円に下がっている。

いくら配偶者控除の対象を広げても、パートが106万円や130万円の壁を意識すれば、働くことを控えかねない。

税制では年収の壁を高くしようとする一方で、社会保険では壁を低くする。こんなチグハグな対応は、政府・与党が税と社会保険をバラバラに議論しているからだ。

国民負担という点は税も社会保険料も同じだ。大事なのは両者を一体的に改革し、年収を意識せずにもっと働きやすくする案づくりに知恵を絞ることだ。

所得税の課題は多い。現役世代より優遇している年金受給者向けの所得控除は、低所得者に配慮しつつ、原則として圧縮すべきだ。

公的年金を補うため、自助努力での老後の備えを税制で支援する方策もあっていい。今の政府・与党にこうした所得税の大胆な見直しをしようという機運が乏しいのは問題だ。

配偶者控除の部分的な手直しで終わるのは困る。税と社会保障の一体改革や、所得税の抜本改革に向けた道筋を、17年度税制改正大綱で明示すべきではないか。

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