2019年5月27日(月)

官民連携や広域化で水道の基盤を強固に

2016/11/26 3:30
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道路など様々なインフラの老朽化が問題になっているが、私たちの暮らしと命を支える水道も例外ではない。水道管が破裂し、道路が水浸しになる事故も珍しくない。事業規模の拡大や官民連携の加速による水道事業の基盤強化が待ったなしの課題だ。

日本の水道システムは国際比較で見ると漏水が少なく、料金も総じて安価だ。水質や味についても、東京都水道局がペットボトル詰めの水道水を売り出して人気を呼ぶなど評価は高い。

だが、最大の問題は今の水道システムが今後も維持できるかどうか不透明なことだ。

水道サービスの担い手は市町村が中心で、全国に1400近い事業体がある。うち半数は給水コストを水道料金でまかなえない原価割れの状態で、「水道は独立採算」の原則が揺らいでいる。

さらに今後は人口減による水需要の減少が見込まれる一方で、高度成長期に整備された水道管や浄水場が更新期を迎え、維持コストは膨らむ見通しだ。

人の面でも不安がある。中小の市町村では水質管理や管路保全に携わる技術系職員が高齢化し、若い人の補充もままならない。

問題解決の一つの方策が複数の市町村による広域連携だ。事業規模の拡大によってコスト低減の余地が広がり、投資体力も増す。職場としての魅力が高まれば、専門職員の採用も容易になり、事業基盤は確実に強化されるはずだ。

埼玉県や群馬県では既に事業統合に踏み切る自治体が現れた。厚生労働省や各都道府県も統合を促す手立てを講じるべきだ。

もう一つの道は「民」のノウハウの活用だ。三菱商事などが出資する水サービス専門会社の水ing(東京・港)は広島県企業局と共同出資会社をつくり、業務の効率化などに成果を上げている。

空港などで導入している、公的設備の運営を長期にわたって民間企業に委ねるコンセッション方式の手法を水道事業でも積極的に活用したい。意欲ある公営事業体の民営化も検討事項である。

設備の更新費用を捻出するために水道料金の値上げは避けられないという見方が多いが、こうした改革を進めることで、値上げ幅の圧縮が可能になるだろう。

官民連携によって国際競争力を持ったプレーヤーが育つ効果も期待したい。インフラの海外展開は日本の成長戦略の柱の一つだ。

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